「上を向いて歩こう」(61年)の歌手・坂本九さんが、没後40年を迎える。1985年(昭60)8月12日の日航ジャンボ機墜落事故により、43歳で亡くなった。
NHK「夢であいましょう」など、テレビ創世期から活躍。「見上げてごらん夜の星を」「明日があるさ」「幸せなら手をたたこう」「涙くんさよなら」「レットキス(ジェンカ)」など、今も歌い継がれる多くの名曲を生んだ。
「上を向いて歩こう」(作詞・永六輔、作曲・中村八大)は、アメリカで「SUKIYAKI」というタイトルで63年5月にリリースされ、全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で3週連続1位を獲得した。日本人アーティストの全米1位は、今も坂本しかいない偉業である。
初ものづくしの歌手だった。日本人初の全米1位だけでなく、外国人として初めて全米レコード協会のゴールドディスク(100万枚突破)に選ばれた。
62年の選抜高校野球の入場行進曲に「上を向いて歩こう」が選ばれた。初のヒット曲起用だった。
NHK紅白歌合戦で、同局アナウンサー以外で初めて白組司会を務めた。
慈善活動に積極的で、日本初の手話で歌う歌「そして想い出」(79年)を発表した。
そんな数々の業績を、没後40年の節目にあらためて伝えようと「坂本九プロジェクト」が動き出している。坂本が所属したマナセプロダクションとユニバーサルミュージック合同会社が軸となって展開する。
新ベストアルバムや映像集の発売や、坂本が主演したミュージカルの新キャストによる再演。異業種とのコラボなど、さまざまな企画が上がっている。
「上を向いて歩こう」は、国内外の数多くのアーティストにカバーされている。震災などの際には、被災者を勇気づける歌として歌われ続けている。
記者の勝手な期待なのだが、プロジェクトの1つとして、ぜひ「ウィ・アー・ザ・ワールド」のように、国内外の多くのアーティストが参加して歌唱し、同曲をあらためて知らしめてほしい。
「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、マイケル・ジャクソンやライオネル・リッチー、クインシー・ジョーンズらが主導。ボブ・ディラン、ダイアナ・ロス、ビリー・ジョエル、レイ・チャールズら多数のビッグアーティストが参加した、アフリカの飢餓や貧困解消のためのキャンペーンソングだった。
同曲は坂本が亡くなった同じ年の、1985年3月に発表されている。
世界中に不穏な空気が流れる中で、坂本の「上を向いて歩こう」のメッセージを再認識したいものだ。(敬称略)【笹森文彦】



