毎熊克哉(38)が5日、東京・ユーロライブで行われた主演映画「安楽死特区」(高橋伴明監督、23日公開)完成披露試写会で「仕事始めの日から、映画に来てもらって」と観客に感謝した。

「安楽死特区」は、在宅医で作家の長尾和宏氏の19年の同名小説の映画化作品。「安楽死法案」が可決された近未来の日本が舞台で、毎熊は余命半年と宣告されたラッパー酒匂章太郎を演じた。連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、24年1月29日に70歳で死亡した桐島聡容疑者(被疑者死亡で不起訴処分)の人生を描き、25年7月に公開された主演映画「『桐島です』」と、同タイミングで高橋伴明監督(76)から台本が送られてきたと説明。「2冊、同時に送られてきて、これは一体、どういうことなんだろう? と思った。両方、読んでみたら全然、毛色の違う映画で役も違う」と振り返り、笑った。

この日の壇上で、高橋監督の妻でプロデューサーを務めた高橋惠子(70)が「本来なら、登壇するはずですけど、なんと脳梗塞で今、入院しています。軽い脳梗塞で、回復に向けてやっております」と、夫の同監督が脳梗塞で倒れたと明かした。そうした流れで、毎熊には「『桐島です』」撮影時との、同監督の様子の違いを聞く質問が飛んだ。毎熊は「人の命を扱う作品で、どれが良いかを慎重に探って自分らを見ていたのは『桐島』より強かった」と振り返った。

この日は大西礼芳(35)奥田瑛二(75)も登壇した。

◆「安楽死特区」 国会で「安楽死法案」が可決され、国家戦略特区として「ヒトリシズカ」と名づけられた施設が誕生。安楽死を希望する者が入居し、ケアを受けられるこの施設は、倫理と政治の最前線で物議を醸す存在となっていた。回復の見込みがない難病を患うラッパー酒匂章太郎(毎熊克哉)は、進行する病に苦しみながらもヒップホップに救いを見いだし、言葉を紡ぎ続けていた。チベットで出会い、共に暮らすジャーナリスト藤岡歩(大西礼芳)は、章太郎が余命半年を宣告された今も安楽死に反対で、特区の実態を内部から告発することを目的に、「ヒトリシズカ」に入居する。施設には、末期がんに苦しむ池田(平田満)と妻の玉美(筒井真理子)、認知症を抱え、完全に呆けないうちに死なせて欲しいと願う元漫才師の真矢(余貴美子)など、それぞれに事情を抱えた入居者たちが暮らしていた。急速に衰え、言葉さえままならなくなった章太郎は歩に相談もなく「安楽死を望みます」と考えを一変。歩は、池田の主治医の鳥居(奥田瑛二)や章太郎の主治医の尾形(加藤雅也)三浦(板谷由夏)ら特命医それぞれの思いに触れ、命と死に真摯(しんし)に向き合うことを迫られる。