オーストラリア出身の歌手でバイオリニストのサラ・オレインが10月28日、新アルバム「Hibi-Seasons that could be」を発売する。「日々だけではなく、ひび割れの罅(ひび)、響きのヒビ、いろいろな意味を重ね、ローマ字で当てた」と言う。
日々生きていく上で移り変わる四季の変化、地球の変化、ひびだらけの我々という普遍的なテーマを15曲にまとめている。ウィーン少年合唱団のボーイソプラノの純粋な歌声にあこがれ、4オクターブの歌声を駆使して伸びやかな高音域を誇るサラが、ここでは低音で情熱的に歌い上げる。
印象的なのはユーミンこと、松任谷由実の名曲「春よ、来い」。英語の歌詞をつけた。ビバルディの「四季」を出だしはバイオリンで演奏し、日本の童謡「春よこい」の最初のフレーズにつなぐ。宮崎県の民謡「刈干切唄」は西洋の楽器に合わせた。和洋を織り交ぜて独特の世界を表現している。
ほかにも、映画「バグダッド・カフェ」のテーマ曲である「Calling You」、人気のゲーム「FINAL FANTASY X」の主題歌である「素敵だね」などをカバーした。
オリジナルも4曲ある。中でも印象的なのは、今年、酷暑のフランスで書いた「Coldest Summer (Lullaby for my Unborn)」。「エアコンのない家庭ばかりのフランスも、温暖化で変わらざるを得ない。ワインの特産地のボルドーでは、火事で馬が逃げ出して道をふさぐとか、映画のようなシーンが流れた。今後、世の中はもっともっと暑くなる。自然に一番近い人たちが実感する。皮肉を込めて、最も寒い夏というタイトルで、大事なメッセージも伝えたい」。
シドニー大を首席で卒業としたサラは、東大に留学。その時にゲームソフト「ゼノブレイド」のエンディングテーマ「Beyond the Sky」を歌って、歌手としてのスタートを切った。東大時代には留学生同士でカラオケに行き、歌謡曲、ゲームのテーマ曲、アニソンなども覚えた。
また、プロスケーター羽生結弦がグランプリファイナルで連覇した時のエキシビションでは、サラの「The Final Time Traveler」で演技した。
アルバム発売翌日の29日にはパリで初公演を行う。「母が私を懐妊中に過ごしていたのがパリだった。私は実は『メイドインパリ』。縁があって」。日本国内の旅先では、必ず各土地の方言を話すことにこだわっている。今回は「ヘタでも、フランス語で会話をしたい」と張り切る。
パリから日本へ戻ると、11月22日「八ケ岳高原音楽堂」(長野県南牧村)、29日「平和市民公園能楽堂」(大分市)、12月5、6日「Live Restaurant風来坊」(松山市)、16日「キリスト品川教会 グローリア・チャペル」(東京・品川)、25日「BLUE NOTE PLACE」(東京・恵比寿)とライブが続く。「日本でボーカリストとして活動してきたご縁で、音楽をお届けしたい」。来年迎えるメジャーデビュー15年に弾みをつける。



