大阪地裁は28日、3億7000万円の詐欺と恐喝未遂罪に問われたタレント羽賀研二(本名・当真美喜男)被告(47)と、恐喝未遂の共犯とされた元プロボクシング世界王者渡辺二郎被告(53)に無罪の判決を言い渡した。求刑はそれぞれ懲役8年と4年だった。

 被害者とされた男性が、未公開株の元の価格を事前に承知した上で高値で買い取ったかどうかが争点だった。

 判決理由で中川博之裁判長は羽賀被告側の主張を認め、「被害者の証言に全幅の信頼を置くには合理的な疑いが残る」と指摘。恐喝未遂については「前提となる詐欺が認められず、共謀もなかった」とした。

 2被告は一貫して無罪を主張。公判はことし5月にいったん結審したが、7月の判決直前に羽賀被告側が申請した証人尋問が認められて再開。出廷した羽賀被告の知人が「被害者は株の元の価格を知っていた」と証言し、9月に再び結審した。判決はこの証言を重視した結論になった。

 検察側は、羽賀被告は2001年6~10月、知人男性から医療コンサルタント会社の未公開株購入を手配するよう依頼された際、実際の3倍の価格を説明し、代金3億6000万円と手数料1000万円を詐取。この会社は上場せずに倒産し、男性から約4億円を請求された羽賀被告は、渡辺被告らと共謀し、06年6月、大阪市内のホテルで男性を脅して1000万円で債権を放棄するとの書面に署名させた、として起訴していた。