放送開始53年の歴史があるNHK次々期連続テレビ小説「マッサン」(今秋放送スタート)から、史上初の外国人ヒロインが誕生した。4日午前、NHK大阪放送局で発表され、ヒロインは米ニューメキシコ出身のシャーロット・ケイト・フォックス(28)に決まったことが発表され、夫役の玉山鉄二(33)とそろって会見した。

 「オハヨウゴザイマス」。覚えたての日本語であいさつしたシャーロットは、祖母がスコットランド人で、両親とも米国人。日本人の血縁はまったくおらず、日本語は話せない。初の舶来ヒロインは今後、まずは日本語の勉強に入る。

 ドラマは、ニッカウヰスキー創業者の故竹鶴政孝氏とスコットランド出身の夫人リタさんをモデルにした夫婦の奮闘記。シャーロット、玉山が夫妻を演じる。

 シャーロットは通訳を介し、「夢を追って、まったく知らない土地に来たヒロインは、私と境遇が似ている。私も役者の夢のために日本に来た」。来日は今月の最終オーディションが初めてで、今回の会見出席が2度目という。

 「田舎生まれで、両親はヒッピー世代でテレビもなかった。何もないところで想像力を使って遊んできた」といい、役者業に興味を持った。大学へ進学し、演劇を学び、女優の道へ。米国ではミュージカル「シカゴ」地方公演で主演を務めたほか、映画、テレビで活躍したが、日本で著名な作品への出演経験はなし。昨年12月からのオーディションで、芝居への真摯(しんし)な取り組みと、向上心が評価され、合格した。

 前日3日、玉山と初対面した。玉山は「いきなりハグされた」。情感豊かな感情表現は、女優としての武器にもなる。5月下旬からは異国の地で10カ月近い長丁場の収録が待っている。

 「ホームシックは、スカイプ(インターネット電話サービス)があるから大丈夫。私が今いる東京の部屋とか、外の風景を母に見せたら、母は『信じられない』と驚いていました」

 いたずらっぽく笑うシャーロットは、素直さを感じさせた。母国には「大切な人」がいるといい、しばらく離ればなれになるが「今は忙しくて、寂しがっている暇がない状態です」と、ヒロイン業に専念する覚悟もある。仕事が落ち着けば、家族を日本に呼ぶ予定もあるという。

 玉山は「笑顔が印象的で僕が質問すると、まずジョークで和ませてくれる。とてもユーモアのある女性です」と、すっかり魅了されていた。