岩手県滝沢市で5月に行われたAKB48の全国握手会イベントで、メンバーらに切りつけたとして傷害、銃刀法違反の罪に問われた青森県十和田市の無職梅田悟被告(24)の初公判が4日、盛岡地裁で行われた。

 黒の上下のスエット姿で入廷した同被告は、両手の拳を握ったり、キョロキョロと周りを見回し、落ち着かない様子。時折、傍聴席に不敵な笑みを見せる場面もあった。

 罪状認否で同被告は、AKB48メンバーの川栄李奈(19)入山杏奈(18)に次々と切りつけ、けがをさせたことを認めた。一方で、制止に入り、裂傷などを負った警備員の男性スタッフ(当時20)については、甲高い声で「刃物をつかませた20歳の男性にはケガをさせてないです」と主張した。弁護側が争わない姿勢を見せていることから、食い違いが生じ、岡田健彦裁判長から開廷わずか7分で休廷を命じられる場面もあった。再開後、同被告は男性をけがさせたことも認めた。

 検察側によると、梅田被告は5月25日、滝沢市の岩手産業文化センター「アピオ」で、握手会を行っていた川栄、入山ら5人の列に、手提げ袋に隠し持っていた折り畳み式の改造のこぎりで切り付け、手の骨折や頭部の裂傷を負わせた。同被告は、1月に警備会社を解雇されており、テレビで見たAKB48メンバーが高収入を得ていると不満を抱いたという。一方的な逆恨みが、犯行の動機になったとした。所持していた2枚の握手参加券のうち、1枚を下見に使うなど、用意の周到ぶりも明らかになった。

 次回公判は12月1日で、被告人質問などが行われる。