元女子バレーボール日本代表でタレントの大林素子(42)が世界的な演出家、蜷川幸雄氏(74)が演出する舞台「ファウストの悲劇」(7月4~25日、東京・渋谷シアターコクーン)に抜てきされ、出演することが20日、分かった。182センチの長身を買われての出演で、蜷川作品の大ファンだった大林は「感激、感動、興奮、光栄の極みです」と本番を楽しみにしている。

 大林は蜷川作品の大ファンだった。蜷川演出の舞台をたびたび観劇し、蜷川氏に会った際に「蜷川さんの舞台に立ちたいです」と直訴したこともあった。そんな熱い思いがようやく実現した。抜てきの決め手は182センチの身長だった。同作品にはマメ山田、日野利彦という蜷川作品常連で130センチ台の小柄なベテランが出演しており、見た目の大小の対比を蜷川氏が求めたという。

 「ファウストの悲劇」はシェークスピアと同時代の作家クリストファー・マーロウの作品で、ドイツに実在した錬金術師ファウストの伝説をもとにしている。大林が演じる役は同作品には大林を含め女性は2人しか出演しないため、アレキサンダー大王の王妃(亡霊)や公爵夫人など何役かの掛け持ちとなる。

 大林は日本代表のエースアタッカーとして活躍して97年に現役を引退した。その後はスポーツキャスターのほか、01年につんく♂プロデュースのユニット「デカモニ。」で歌手デビューしたり、06年には舞台に初挑戦。26日から舞台「MOTHERマザー」に主演するなど活躍の場を広げている。

 「ファウスト-」は野村萬斎、勝村政信、木場勝己の実力派から演出家としても活躍する長塚圭史、白井晃など多彩な顔ぶれがそろった。蜷川氏はこれまでも元水泳五輪の藤本隆宏や元大相撲十両の大富士を舞台に上げている。元プロスポーツ選手として、3人目の蜷川作品での抜てきとなった大林は「すばらしいキャストの皆さまとご一緒させていただき、本当に本当に感激、感動、興奮、光栄の極みです。のんびりムードに一気にエンジンをかけ、この夏は突っ走って行きたいと思います」と意気込んでいる。舞台の世界でも「日本代表」を目指す。

 [2010年5月21日8時13分

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