20年にわたって日本の音楽界に影響を与えてきた東京・渋谷の大型CD店「HMV渋谷」が22日、閉店した。店舗前には、常に50~60人の常連客や通行人が立ち止まり、携帯カメラなどで外観を撮影。車の中から「HMVありがとう!

 さようなら!」と叫ぶ男性もいた。20代女性は「渋谷駅から近くて、よく前を通っていたので、なくなるのは寂しい」と実感を込めた。関係者は「いつもの週末に比べると、2倍ぐらいの来客数です」と話した。

 この日午後2時から深夜まで、店内でDJやライブ、トークショーなどのイベントを開き、別れを惜しんだ。参加者は「こんなにたくさんの試聴機がある店は、なかなかない」、「店員さんの手書きのコメントが参考になる」などと渋谷店の良さを強調していた。

 音楽CDなどを販売するHMVジャパンは、90年に渋谷店を1号店としてスタート。同社として最大級の売り場面積に豊富な商品をそろえ、渋谷に集まる大勢の若者らでにぎわった。「渋谷系」と呼ばれるポピュラー音楽の発信源とされ、全国から注目された。しかし音楽ソフトの市場縮小や、インターネットでの音楽配信などで苦戦を強いられ、今年6月に渋谷店の閉鎖を発表していた。

 [2010年8月23日12時10分

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