前高知県知事で元NHK記者の橋本大二郎氏(67)が、4月からテレビ朝日系情報番組「ワイド!スクランブル」でキャスター復帰することが24日、分かった。現在は同局の寺崎貴司、大下容子の両アナウンサーが司会を務めているが、4月から橋本氏と大下アナの新コンビとなる。橋本氏は首相も務めた故橋本龍太郎氏の異母弟で、NHK社会部記者時代には「ニュース・トゥデイ」キャスターを90年3月まで務めた。皇室担当のキャリアを生かして昭和天皇の闘病と崩御、今上天皇の即位などを報じた。歌舞伎役者のような端正な顔立ちと、クールで的確な報道で「NHKの貴公子」と呼ばれ人気を集めていた。24年ぶりのキャスター復帰となる。

 「ワイド!スクランブル」は現在は月曜から金曜まで午前11時25分から放送されているが、4月から開始時間が午前10時半に繰り上がり、正午までの放送となる。現在午後1時20分から放送中の「徹子の部屋」が正午開始に繰り上がることに伴う改革だ。

 テレビ朝日は昨年、年間平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でゴールデンタイムとプライムタイムで首位に立ったが、全日タイム(午前6時~深夜0時)で7・8%と、日本テレビに0・2ポイント差をつけられた。橋本氏起用で全日の視聴率アップ、3冠獲得を目指す。

 橋本氏は91年の都知事選候補に名前が挙がったが出馬せず、同年8月にNHKを退局。同12月の高知県知事選に出馬して同知事選史上最多の31万6968票を獲得して初当選した。44歳は当時最年少知事だった。知事は07年12月の任期満了まで務めた。09年に衆院選に出馬したが落選。その後は早大大学院客員教授や慶大特別招へい教授などを務め、情報番組にコメンテーターとして出演している。

 全日タイムの視聴層の中心となる40代以上に抜群の知名度を持つ同氏のキャスター復帰が、日本テレビとの視聴率争いを制する切り札となるか注目される。

 ◆橋本大二郎(はしもと・だいじろう)1947年(昭22)1月12日、東京都生まれ。72年に慶大法学部卒業後にNHK入局。88年4月「ニュース・トゥデイ」の専属キャスターに。91年にNHK退職後、高知県知事選で初当選。95年には問題になった官官接待を全国の自治体に先駆け廃止。07年12月、任期満了で退任。故橋本龍伍元厚生大臣の次男で故橋本龍太郎元総理の異母弟。家族は夫人と2男。