統一地方選の前半で9道府県の知事選と41道府県議選は終わった。道府県議選の投票率が過去最低の41・85%ということにも驚くが、不可解でならないのが無投票選挙区の多さだ。全体の37・1%、3分の1の選挙区、員数にして25%。4人に1人が審判を受けずに無投票で当選している。

私が住む大阪でも定数削減で激戦と言われながら、53選挙区のうち11選挙区15人が無投票当選だ。全国では9議席の甲府市が無投票。島根県では10回連続、40年間無投票の選挙区もある。

出演しているテレビ番組で告示日に無投票当選が決まった候補を追ったが、立候補届け出締め切りの午後5時が来ると、それまでそわそわしながら「できたら有権者の審判を」と言っていた候補者が満面の笑みで花束を抱え、「私の実績を見たら対抗して出てくる人なんていないでしょう」。

選挙報道のたびに投票を呼びかけている側からすると、なんともむなしい話だが、投票できない有権者にしてみれば支持しない候補者でも議席を得ていく。そのことに憤りさえ感じるのではないか。“1票の格差”どころではないはずだ。

ここは制度を抜本的に改革する時ではないか。たとえば立候補者が定数以内だったとしても無投票とせず、○×をつける信任投票を実施。不信任が過半数となった候補は落選。1人区でそうなった場合は議席を失う。そうした改革をすれば、みんながなんとか選挙戦へと力を入れるのではないか。

毎日新聞の「余録」欄は「地方自治は民主主義の学校」と書いている。ならば、この事態は学校崩壊ならぬ、民主主義崩壊の危機ではないだろうか。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。