政治家がSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の使い方を間違えると、こんなことになってしまう。今回の「赤坂自民亭問題」は、1つのモデルケースではないかと思う。

 西日本豪雨の初期段階、各地で被害が出始めた今月5日夜、東京・赤坂の衆院議員宿舎で開かれた自民党議員による懇親会「赤坂自民亭」。今回が27回目だったというが、安倍晋三首相が初めて参加するためメディアの注目を集めたのが、ことの発端だった。

 今回、SNSで宴会の様子を発信して批判を浴びている国会議員たちも、政治活動の写真はアップしても、普通の飲み会の写真まではそう発信したりしないだろう。しかし、今回は一国のリーダーである総理大臣が参加。総理といっしょに、飲んでいる自分。その姿を知らせたい-。そんなよこしまな気持ちも、発信者たちには、あったのではないだろうか。

 片山さつき参院議員や、西村康稔官房副長官がSNSで発信した写真をみると、大皿料理や飲み物を前に、和気あいあいとした、楽しそうな宴会の雰囲気。ピースサインやサムアップ。私たちが飲み会の時でスマホで撮ってしまう集合写真と、変わらない雰囲気だ。

 2013年に始まった選挙活動のインターネット解禁後、政治家、国会議員のSNS発信は特に増えた。積極的な議員とそうでない議員の落差も激しいが、1日に何度も更新するケースも珍しくない。もちろん、ほとんどは政治活動だ。国会での質問シーンや会議の様子に、地元回り。プライベートっぽい、飲み会の様子は、ほんのわずかだ。

 政治活動と私的活動。これがごっちゃになると、今回のような問題につながる。別に、政治家の飲み会の様子を見たいとは思わない。飲み会は「政治活動」でないはずだし。

 当日の午後2時、気象庁は全国各地で大雨の恐れがあるとして、記者会見を開き、厳重警戒を呼び掛けていた。宴会と、大雨被害は、いっときの間「同時進行」で進んでいた。しかも、飲み会は、SNSで発信しなければ、「バレ」なかった。国民全体が知るような事態には、ならなかったはずだ。

 国会で取材をしていると、議員の秘書の方が議員の様子を撮影する場面によく出くわす。それにとどまらず、議員本人がスマホで会合の模様を撮影したり、その会合をバックにして自分を撮影する、セルフィー撮影に臨んでいる方々も、かなり増えた。支援者への報告のためには、当然必要な発信もあるだろうが、単なる「記念写真」の場合、どこまで必要なのだろうと思うことも多い。

 西日本豪雨後、国会議員のSNSでは、被災地での活動のほか、被災地に向けた生活支援情報などの発信も増えている。「記念写真」ではなく、「ためになる」発信なら、理解も得られるだろう。今後は、政治家のSNSに対する国民の視線は確実に厳しくなるはずだ。