東京都議選(6月13日告示、22日投開票)の告示が近づいてきた。その直後に参院選が控えており、昨年の衆院選で少数与党に陥った石破政権、衆院で多数を握ったのにどこか足並みが乱れている野党が激突する夏の政治決戦の幕が、いよいよ開こうとしている。
東京都議選は首都東京の議員を選ぶ選挙で、地方選挙の1つ。ただ、毎回、その後に行われる国政選挙に及ぼす影響の大きさから、政局を見通す上での「先行指標」とも言われてきた。最も大きな影響を与えたのが2009年都議選。自民党は大きく議席を減らし、その直後の衆院選で自民党は大敗。当時の麻生太郎政権は民主党に政権を明け渡すことになった。
今年は12年に1度となる「都議選と参院選が重なる年」だが、36年前の1989年は、都議選の直前に初めて消費税3%が導入され、リクルート事件や首相の女性スキャンダルなどの影響もあり、都議選で自民党は20議席減らした。この直後の参院選では33議席減となり、社会党が「マドンナ旋風」で躍進する結果に。逆に2001年都議選や2013年都議選は、首相就任直後の小泉純一郎氏や安倍晋三氏への期待も重なり、続いて行われた参院選はどちらの年も自民党が圧勝している。
そうした、その後の政治情勢の「先行指標」となる都議選だが、今回は見通しが不透明だとする声を聞いた。自民党は、国政だけでなく都議会でも裏金事件が明らかになり、厳しい戦いになるだろうとの見立てがある一方で、直近の自民党内部の調査では、必ずしも「苦戦」を現す数字は示されていないようだ、という関係者の声を聞いた。
自民党は前回の都議選で第1会派を都民ファーストの会から奪い取り、今回はその「死守」が最大の目標といわれる。前回の都議選で第2会派となった都民ファは第1会派の奪還を目指しているほか、今回の都議選で初の議席獲得を目指す中、各社世論調査で「失速」が指摘され始めた国民民主党、共産党や立憲民主党などこれまで都議会で勢力を維持してきた野党各党、自民党とともに小池都政を支えてきた公明党の動向も含め、石丸伸二氏が率いた「再生の道」という新興勢力も参戦する。「読みづらい」との声も含め、永田町でもその結果に関心が注がれている。
そんな中、知事として臨む3度目の東京都議選となる小池百合子都知事は、先月から新人を中心に各候補の会合を回り、組織固めに向けた動きを加速化させている。先月末の定例会見では、これまで進めてきた子育て政策や、出会いから結婚、出産、子育てまでの流れを通じた政策などを通じて「都民の義母」などという呼ばれ方をしていることを問われ「グランマでもいいですよ、と言っているんですけど」と応じるなど、自身への「評価」にまんざらでもない様子をみせた。
都議選前最後の議会となった都議会では、今夏の4カ月分の水道基本料金を無料とするのに必要な事業費を盛り込んだ25年度補正予算が、最終日の6日に可決された。「選挙前の選挙目当て政策」(野党関係者)の冷ややかな見方がある中、小池氏は同日に東京都世田谷区で行われた、都民ファの新人候補の会合であいさつした際、「(判断に)時間がかかって、冬になって『暑さ対策で水道基本料金無償化』と言っても、ピンとこない。都としてすぐにできる」とアピール。「都民の目線を第一に、お困りごとは(それぞれ)違うが、細かーく、大きく、両方の観点から都政を前に進めたい」と訴えた。
小池氏をめぐっては、かねて取りざたされてきた国政復帰説はしぼんだ感があるが、永田町関係者に話を聞くと、石破政権の支持率低空飛行と政権運営をめぐって混乱が続く中、少し前に、民間登用による「小池外相起用説」が水面下で流れたこともあったという。もちろん現実味は定かではないが、別の関係者は「今後の政局を見る上でも、国政が混乱する今のタイミングで都議選が行われるのは、結果次第では再び、小池さんに焦点が当たることになる可能性もあるのでは」と指摘する。
都議選後の参院選については、もしかしたら衆参ダブル選挙になるのではないか、という観測が、にわかに拡大し始めている。そんな中で行われる東京都議選。いろんな意味で、これからの政治状況を左右する戦いになりそうだ。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)


