【ワシントン、テヘラン共同=新冨哲男、渡会五月】バイデン米大統領は12日、イランによるイスラエル攻撃が「すぐにでもあり得る」と述べた上で「やめろ」と警告した。イランは在シリア大使館がイスラエルに攻撃されたとして報復を宣言している。国営イラン通信は13日、イラン革命防衛隊が中東の要衝ホルムズ海峡近くで、ヘリコプターを使った作戦でイスラエル関連の貨物船を拿捕(だほ)したと伝えた。報復攻撃との関連は不明。

バイデン氏は「米国はイスラエル防衛を支援する」とも強調した。イスラエルのカッツ外相は13日、船舶拿捕は「国際法違反の海賊行為だ」とX(旧ツイッター)で非難した。パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、ハマスを支援するイランとイスラエルの緊張激化で、中東情勢の混迷は必至だ。

イランは弾道ミサイルや無人機でイスラエル領内に直接攻撃する選択肢のほか、レバノンの民兵組織ヒズボラなどの親イラン組織を利用した報復を検討しているもよう。一方、関係筋によると、イラン政府は情勢を悪化させたくないとの意向を米政府に伝えている。イランとイスラエルの直接衝突回避に向け、各国の外交努力も続いている。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米軍は警戒のため駆逐艦を含めた艦艇を再配置したと報じた。イスラエルのハレビ軍参謀総長は「防衛の準備はできている」と述べている。

シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館は1日に攻撃され、イランはイスラエル軍の仕業だと断定した。米ニュースサイト、アクシオスによると、イランは米国が反撃に関与すれば中東に駐留する米軍が攻撃を受けると主張し、米国にもイラン大使館攻撃の責任があるとの考えをアラブ諸国に伝えたという。

日本外務省は12日、邦人に対してイスラエル大使館などの関連施設に近づかないよう呼びかけた。ロイター通信によると、ドイツ外務省は自国民に対してイランからの出国を促した。(共同)