衆院3補欠選挙が16日、告示された。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件後、初の国政選挙。島根1区が唯一、自民、立憲民主両党による与野党対決の構図となった。自民は東京15区と長崎3区での独自候補擁立を断念し不戦敗。結果は9月の自民総裁選で再選を目指す岸田文雄首相の政権運営や衆院解散戦略を左右する。いずれも28日に投開票される。

3選挙区は元々自民の議席。自民が島根1区を落とし全敗となれば、内閣支持率低迷が続く首相への打撃となる。立民は島根1区に照準を合わせ、党幹部を投入。日本維新の会も擁立した2候補のてこ入れを図る。

自民の小渕優子選対委員長は、松江市で裏金事件を陳謝し「不断の決意を持って政治や党の改革を進める」と訴えた。立民の泉健太代表は東京都内で「自民の裏金対応に答えを出す重要な選挙だ」と述べ、3勝へ決意を表明。維新の馬場伸幸代表も都内で「政治とカネの問題をクリーンにする」と語った。

東京15区補選は、公選法違反事件を巡る柿沢未途前議員=自民離党=の辞職に伴う。諸派新人の弁護士福永活也氏(43)、小池百合子都知事が擁立を主導した無所属新人の作家乙武洋匡氏(48)=国民推薦、参政党新人の看護師吉川里奈氏(36)、無所属元職の秋元司氏(52)、維新新人の元会社員金沢結衣氏(33)=教育推薦、諸派新人の会社経営根本良輔氏(29)、立民新人の元江東区議酒井菜摘氏(37)、諸派新人の大学客員教授飯山陽氏(48)、無所属新人の前参院議員須藤元気氏(46)の計9人が立候補した。

自民の細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区補選は、自民新人の元中国財務局長、錦織功政氏(55)=公明推薦=と立民元職の亀井亜紀子氏(58)が届け出た。

長崎3区補選は、裏金事件を巡る谷川弥一前議員=自民離党=の辞職を受け実施。立民前職の山田勝彦氏(44)=社民推薦=と維新新人の学習塾経営井上翔一朗氏(40)=教育推薦=が立候補した。両氏による一騎打ちとなる見通しだ。(共同)