国連安全保障理事会(15カ国)は18日、パレスチナの国連正式加盟を勧告する決議案を否決した。パレスチナ自治区ガザでの戦闘でイスラエルを支持する常任理事国の米国が拒否権を行使した。ガザでは多数の民間人が巻き込まれ、深刻な食料不足も発生。国際社会のパレスチナへの連帯が広がる中、米国に対する反発が高まるのは必至だ。

日韓など12カ国が賛成、英国とスイスが棄権した。米国のウッド国連次席大使は、パレスチナ国家の樹立は「当事者間の直接協議で達成されるべきだ」と述べ、イスラエルの合意なき国連加盟には反対だと説明した。トーマスグリーンフィールド米国連大使も19日、東京都内で記者団に、決議案はパレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」に「資するものではない」と語った。

一方、パレスチナのマンスール国連大使は「われわれの意思が打ち砕かれることはない」と訴えた。

パレスチナは2011年に加盟を申請したが、その際も米国が拒否権行使を示唆し、安保理での採決には至らず棚上げ状態となっていた。今月2日、手続きの再開を申請した。

安保理下部の審査委員会では意見が割れ、非常任理事国のアルジェリアが、パレスチナを含めたアラブ諸国と協力して決議案提出を強行した。安保理筋によると、アラブ諸国には、米国の拒否権行使で国際的な反感が高まり、ガザで戦闘を続けるイスラエルへの支援を米国が弱めざるを得なくなるとの思惑がある。

パレスチナの現在の地位は、発言権はあるが投票権はない「オブザーバー国家」。国連の規定によると、新規加盟を希望する場合は、安保理での承認勧告を経て、総会(193カ国)の3分の2以上の賛成が必要となる。(共同)