イスラエルが19日未明に行ったイランへの反撃で、イラン中部ナタンズの核施設を守る防空システムに被害が出たと米紙ニューヨーク・タイムズ電子版が20日、報じた。複数の欧米とイランの当局者の話として伝えた。イスラエルにはイランの防空システムに探知されない精密攻撃が可能だと示す狙いがあったとしている。

攻撃に使われた兵器は不明。同紙による衛星画像の分析では、ナタンズがあるイスファハン州の空軍基地に設置されている地対空ミサイルシステム「S300」のレーダーが損傷していることが確認できた。イラン当局者2人も同様の見解を示したという。

これに対し、イランのタスニム通信は20日、防空システムの一部が損傷したとの西側メディアの報道は「完全に誤りだ」と否定した。

イスラエルは、イランから13日夜~14日未明に攻撃を受けたことへの対抗措置として、19日に反撃した。ミサイルや無人機を併用した攻撃だったとされる。イランは再報復しない構えで、1日の在シリア・イラン大使館攻撃を機に激化した両国の対立はひとまず収束する方向に向かっている。

一方、パレスチナ通信は20日、パレスチナの国連正式加盟を勧告する決議案が18日に米国の拒否権で否決されたことを受け、自治政府のアッバス議長が「対米関係を再考する」と強い不満を表明したと報じた。

決議案の採択では、日本を含む12カ国が賛成、英国とスイスが棄権した。イスラエルはパレスチナ独立国家の樹立に反対しており、イスラエル外務省は20日、賛成した日本や韓国、フランスなどの大使を21日に呼び出し抗議すると発表した。(共同)