イスラエルのネタニヤフ首相は21日、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラム組織ハマスから人質を奪還するため、近く「軍事的、政治的圧力を強化する」と述べた。ハマスに「痛烈な追撃を加える」とも強調した。詳細は明らかにしなかったが、ガザ最南部ラファへの地上侵攻を念頭に置いた発言とみられる。

22日からのユダヤ教の重要な祝祭、ペサハ(過ぎ越し祭)を前にしたビデオ声明で語った。

またネタニヤフ氏は21日、米政府が近くイスラエル軍の部隊に制裁を科す方針だとの報道を巡り「もし誰かが軍部隊に制裁を科すことができると考えているなら、私は全力で戦う」と主張した。

米CNNテレビは15日、イスラエル当局者の話として、軍が準備を進めるラファ侵攻を延期したと報道。イランによる直接攻撃への対応を優先するためとされたが、イスラエルは19日に反撃を実施。イランは再報復しない構えで、両国の対立は収束に向かっており、ラファへの侵攻計画を再び進める可能性がある。

ラファにはガザ各地からの多数の避難民らが密集しており、軍が侵攻に踏み切れば民間人被害がさらに拡大するのは避けられない。バイデン米政権は繰り返しラファ侵攻に反対している。

軍は21日もガザ各地で攻撃を続けた。パレスチナ通信は21日、中部ヌセイラト難民キャンプへの空爆で7人が死亡したと伝えた。ガザ保健当局によると、昨年10月の戦闘開始以降のガザ側死者は3万4097人。(共同)