「頂き女子りりちゃん」を名乗って恋愛詐欺のマニュアルを販売し、自身も男性の好意につけ込み計約1億5500万円をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われた渡辺真衣被告(25)に、名古屋地裁は22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡した。求刑は懲役13年、罰金1200万円だった。

大村陽一裁判長は判決理由で「マッチングアプリで知り合った被害者に、言葉巧みに恋愛感情を抱かせ手玉に取った狡猾(こうかつ)な犯行」と非難。詐取した金をホストクラブでの遊興費に費やし「意中のホストの売り上げに貢献する資金を得たいとの動機は身勝手で、酌むべき余地はない」と断じた。

判決によると、2021年3月~23年8月、50代の男性に借金返済の金が必要といったうそを言い約1億1700万円を、23年4~8月には別の男性に同様のうそをつくなどして約3800万円を詐取するなどした。

別の女=詐欺罪で有罪確定=に恋愛詐欺のマニュアル「頂き女子の参考書」などを販売して手助けした詐欺ほう助罪も、大村裁判長は「主体的に同種犯罪を助長した」と認定。だまし取った金を隠して所得税約4千万円を脱税した所得税法違反の罪については「税務申告の必要性を認識しながら怠った」と述べた。

一方で、被告が反省し、使途先のホストが一部を被害者に返還する意向を示していることなどを考慮した。

眼鏡をかけ、黒のTシャツ姿だった被告は言い渡しの冒頭、立っていたが、次第に呼吸が荒くなり、裁判長が言い渡しを中断。弁護人が落ち着かせた後、座って聞いた。弁護人は閉廷後、「控訴するかどうかは本人と相談する」と述べた。

被告が指名していた東京・歌舞伎町の店のホストは、詐欺で得た金と知りながら受け取ったとする組織犯罪処罰法違反罪で起訴。悪質ホストクラブを巡っては警察が取り締まりを強化している。(共同)