トランプ前米大統領が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件の公判は22日、ニューヨークのニューヨーク州地裁で実質審理に入った。検察は冒頭陳述で、トランプ氏が2016年大統領選前に不都合な情報を封殺していたとして「純然たる選挙不正だ」と主張した。弁護側は「違法行為はなかった」と反論した。

公判は15日に始まり、19日に補充を含め陪審員の選任を終えた。6月ごろに評決が出る見通し。トランプ氏は22日の公判後、記者団に「何も悪いことはしていない」と述べ、11月の大統領選の選挙活動が妨害されていると不満をぶちまけた。

トランプ氏は、過去に不倫関係にあったと主張する女性に口止め料として13万ドル(約2000万円)を支払い、立て替えた当時の顧問弁護士コーエン氏への弁済を帳簿上「法務費用」と偽って処理した罪に問われている。

検察は、トランプ氏がコーエン氏らと共に不利な情報を公になる前につぶし「大統領選をゆがめる計画を主導した」と批判した。不倫関係にあった別の女性にも口止め料を払ったと指摘した。

弁護側は、口外しないよう秘密保持契約を結ぶことは「全く違法ではない」と反発した。コーエン氏への支払いは法務費用で「口止め料の弁済ではない」と主張した。(共同)