伊豆諸島の鳥島東方海域で海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が訓練中に墜落、1人が死亡した事故で、2機が無線を通じて機体の位置情報などを共有できる「僚機間リンク」と呼ばれるシステムに接続していなかったことが22日、関係者への取材で分かった。海自は2機が衝突した可能性が高いとみており、事故との因果関係を慎重に調べている。

木原稔防衛相は23日の閣議後記者会見で、米海軍のP8A対潜哨戒機1機が捜索活動に加わると明らかにした。機体の主要部分が海底に沈んでいる可能性があることから、位置を特定するため、海底の状況を測定できる海自の海洋観測艦しょうなんを派遣したことも公表した。

海自によると、僚機間リンクは対潜水艦戦に加わるヘリが、探知した情報を送受信するネットワーク構築のシステム。接続した機体同士の間隔が狭まると、警報を鳴らす機能を持つ。ただ任務や訓練の内容によっては接続しないケースもある。

海自と海上保安庁は23日も船や航空機で捜索を続け、行方不明となっている搭乗者7人や機体の主要部分の発見を急いだ。潮流の影響を考慮し、範囲を拡大している。

事故原因の特定に向け、海自は2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)のデータ解析も継続。飛行中の機体に異常を示すデータはなかったという。訓練に参加していた艦艇や別のヘリの隊員からの聞き取りも行う。

現場は鳥島の東約270キロで、約5500メートルの水深がある。海自はこれまでの捜索で回転翼のブレード(羽根)や機体の一部、ヘルメットなどを回収している。

海自によると、20日午後10時38分ごろ、大村航空基地(長崎県)所属の1機と通信が途絶えた。海自は、この直前に小松島航空基地(徳島県)所属の1機と衝突が起きた可能性が高いとみている。(共同)