東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年2月、手術後に「禁忌」とされた鎮静剤プロポフォールを大量投与された男児=当時(2)=が死亡した医療事故で、東京地裁は29日、業務上過失致死罪に問われた2人のうち、現場責任者で麻酔科医の元准教授小谷透被告(66)に禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁錮1年6月)を言い渡した。元研修医福田聡史被告(44)は無罪とした。求刑は禁錮1年だった。

プロポフォールは、集中治療における人工呼吸中の小児への投与が禁忌とされていた。投与の判断が適切だったかどうかが争点で、両被告は死亡との因果関係はないとして無罪を主張していた。小谷被告の弁護人は控訴する方針。

細谷泰暢裁判長はプロポフォールについて、医師の裁量で使用が認められることがあり得ると指摘。ただ今回のケースでは、目安とされた使用量や使用時間を大幅に上回っており、心電図の異常もあったことなどから、投与を続けて2日後には「副作用が発症する危険性が高まっていた」とした。小谷被告はこの段階で投与を中止すべき注意義務があったのに「漫然と投与を継続した過失がある」と結論付けた。

元研修医については、医師免許取得から6年目の後期研修医で経験が浅かった点を重視。麻酔科や集中治療の専門医資格はなく、鎮静剤の危険性を認識するのは困難だったとして「死亡を具体的に予見できたとするには合理的な疑いが残る」と判断した。

男児は孝祐ちゃん。判決によると14年2月、首の良性腫瘍の手術を受けた。小谷被告は術後、集中治療室(ICU)の医療行為全般を統括し、プロポフォールの投与を指示。元研修医と共に容体を観察して適切に対処する注意義務を怠り、約70時間にわたって計約6953ミリグラムを投与し、不整脈などの併発による急性循環不全で死なせた。(共同)