GMOインターネットグループへの不正アクセス問題で、政府が通信各社に対し、顧客のものと称する個人情報が掲載された脅迫サイトへの接続を強制的に遮断するよう要請していたことが29日、複数の関係者への取材で分かった。強制遮断は憲法が保障する「通信の秘密」の実質的な侵害に当たるため、要請自体が異例の対応となる。プライバシーに関する情報が拡散される恐れが現実化する中で、応急措置として許容されると判断したとみられる。
大手事業者らが入る電気通信事業者協会などに対し、総務省が要請した。攻撃者が開設したとされる脅迫サイトは27日に1人分の個人情報を掲載し、28日には一般に閲覧できなくなったことが確認された。公開の停止は強制遮断の効果ではないとみられる。
木原稔官房長官は29日の記者会見で、遮断要請をしたかについては言及を避けた上で、被害拡大防止の観点から「通信事業者ともさまざまなやりとりをしている」と述べた。
攻撃者側は身代金の支払い要求に応じなければ毎日、情報を追加公開すると主張していた。28日時点では、新たな脅迫サイトの開設や2人目の情報掲載は確認されていない。警視庁は不正アクセス禁止法違反容疑などで捜査している。
GMOインターネットグループの熊谷正寿社長は29日、自身の交流サイト(SNS)に「犯人の特定につながる有力な情報を入手した」と書き込んだ。社内の対策チームが発見し、警察などに提出するという。
強制遮断は「ブロッキング」と呼ばれ、最近では海外の違法オンラインカジノサイトに対して実施すべきかどうかを巡る議論で注目された。遮断するサイト以外への通信も確認することになるため、憲法の趣旨に反する恐れが指摘されるほか、匿名性が高い「ダークウェブ」上のサイト群には効果が薄いとされる。(共同)

