茨城県高萩市で震度6弱を記録した地震から一夜明けた29日、被害状況が明らかになった。体育館の窓ガラスが割れる中学校、墓石が倒れた寺院もあった。

 29日午後も、下から突き上げるような余震が続いた。JR高萩駅から北西に約15キロの場所にある山間の下君田地区は高萩市中心部よりも被害は大きかった。

 1574年から続く松岩寺では墓石、灯籠、鳥居などが倒れた。しかし、11年の震災でほとんどのガラス戸が割れた本堂は、ほぼ被害はなかった。住職の大徳崇順さん(72)は「3・11の教訓でガラス戸がレールから外れても倒れないように工夫した」と話す。サッシ上に取り付けた木片でガードされ、戸が倒れるのを防いだ。檀家(だんか)の位牌(いはい)が置かれたお堂にも工夫があった。位牌棚に手作りで手製の柵を設置し、落下を防いだ。

 同地区の、来年3月に閉校となる君田小・中学校の体育館は、窓ガラス12枚がサッシごと外れ落ち、割れた。岡田晃美教頭(55)は「東日本大震災がフラッシュバックした」と振り返ったが、3・11の経験から防災対策が生きたと語る。定期的に防災士を招き、児童生徒と地域住民を集め「防災講習」を実施。住民の防災意識は高いという。

 市街地にある玖台(きゅうだい)寺も「3・11」の教訓を生かした。瓦屋根にはフックを付け、墓石はボルトで固定し、いずれも落下を防いだ。住職の吉川道隆さん(49)は「さらに防災を意識しないといけない」と語った。【三須一紀】