7月の都議選を前に、民進党の蓮舫代表のおひざ元・東京で続く「離党ドミノ」が深刻さを増している。10日、東京選出の長島昭久衆院議員(55=比例東京ブロック)が、離党届を提出。党方針への不満が根底にあり、「遅きに失した」と、ぶちまけた。党側は11日にも除籍(除名)とする方針で、野田佳彦幹事長は比例選出を理由に議員辞職を求めたが、ドミノの国政波及を機に、くすぶる蓮舫執行部への不信マグマ爆発を誘発する可能性もある。

 長島氏は離党届を提出後、会見。保守派で知られ、次期衆院選で共産党と選挙協力を進める党方針を批判し、「保守政治家として譲れない一線を示す」と述べた。きっかけは、15年の安保法制への党の対応だと主張。「党内論争に敗れ、失意のどん底で党議拘束に従い反対票を投じた」「一致結束して『アベ政治を許さない』と叫ぶことを求められた」と恨み節も漏らした。「私としては遅きに失した。何度も試みてはいさめられ思い直したが、決心がついた」と、ぶちまけた。

 長島氏は、都議選の責任者でもある党都連幹事長だったが、当初36人の公認予定者のうち、自身の元秘書を含む7人が離党届を提出。責任を取り都連幹事長の辞表を出すばかりか、「離党ドミノ」に加わった。7人中4人は、小池百合子都知事が事実上率いる「都民ファーストの会」から都議選に出馬。長島氏も、小池氏との連携を模索しているとみられる。当面は無所属となるが、「あらゆる可能性を探りたい」と述べ、「これまでの都議会を一掃しようとしている姿勢は、意義深い」と小池氏を評価した。

 これに対し、執行部は党内でグループも率いていた長島氏の「無責任な行動」(関係者)に激怒。離党届は受理せず、近く除籍とする方針を固めた。素早い対応の背景には、投開票まで3カ月を切った都議選を控え、混乱の早期収束にほかならない。野田氏は会見で、「(党の票で当選した)比例復活なら、議員辞職が筋ではないか」と長島氏に伝えたことも明かした。長島氏は拒否したという。

 蓮舫氏のおひざ元・東京で、離党ドミノが国政にまで波及。長島氏は「(同僚が)私に呼応することはない」と否定したが、蓮舫執行部に不満を持つ「離党予備軍」は少なくない。ドミノを食い止められない蓮舫氏への不信感は日増しに強まり、「これで都議選を戦えるのか」と、脱力感も漂い始めた。【中山知子】