将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が2日、東京・千駄ケ谷の東京将棋会館で第30期竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木勇気五段(22)に敗れた。前人未到の30連勝に挑んだ1日を追う。
◆7・2ドキュメント
午前9時33分 藤井四段がタクシーで東京将棋会館入り。同会館の駐車場には、約100人のファンがすし詰め状態で、拍手で出迎えた。柵を乗り越え、スマホで写真を撮ろうとした男性が制される場面もあるなど、朝からフィーバー状態
午前9時38分 佐々木五段が東京将棋会館入り。「頑張れよ!!」などと大きな声援が飛ぶ。
午前9時39分 藤井四段が入室。
午前9時42分 佐々木五段が入室。対局室に両者そろう。
午前9時48分 お互いに一礼してコマを並べ始める。
- 佐々木勇気五段と対局する藤井聡太四段(撮影・江口和貴)
- 佐々木勇気五段(左)と対局する藤井聡太四段
午前9時52分 振り駒の結果、歩が3枚出て、佐々木が先手、藤井が後手となる。
- 佐々木勇気五段との対局にお茶を飲む藤井聡太四段(撮影・江口和貴)
- 藤井聡太四段(左)と対局する佐々木勇気五段
午前10時 対局開始。佐々木五段は1分半ほど経過してから先手2六歩。藤井四段は右手に持ったハンカチで口をぬぐった後に後手8四歩と、ともに飛車先の歩を突いた。
午前10時45分 両者が昼食の注文。佐々木五段は「肉豆腐定食・もち入り」(1050円)、藤井四段は「冷やし中華大盛り」(850円)。いずれも注文先は「みろく庵」。藤井四段は前回の豚キムチうどんに続き麺類。
- 藤井聡太四段が昼食で注文した、みろく庵の冷やし中華(大)
- 佐々木勇気五段が昼食で注文した、みろく庵の肉豆腐定食餅入り
午後0時 食事休憩に入る。
午後0時40分 対局再開。
その頃、藤井四段の地元・瀬戸市では…
デビュー以来、29連勝中の最年少プロ棋士、藤井四段が毎月のように通う地元のラーメン店「陣屋」(名古屋市北区)では2日、30連勝を期待し、各種ラーメンを300円値引きする特別サービスを実施した。将棋ファンや地元の人たちの行列ができ、最大で約1時間待ちも。約300食を用意したが、ほぼ完売になった。
- 藤井聡太四段の行きつけのラーメン店「陣屋」には行列できた(撮影・松浦隆司)
- ラーメン店「陣屋」の「大盛チャーシューらあめん」を食べながら30連勝にエール(撮影・松浦隆司)
午後4時45分 両者が夕食の注文。佐々木五段は「ミニとんかつ定食」(1000円)、藤井四段は若鶏唐揚げ定食(850円)。いずれも注文先は「みろく庵」。
- 夕食で藤井聡太四段が注文した、みろく庵の若鶏唐揚げ定食(撮影・江口和貴)
- 竜王戦決勝トーナメント2回戦 夕食で佐々木勇気五段が注文した、みろく庵の「ミニ豚かつ定食」(撮影・江口和貴)
午後6時 食事休憩に入る。
午後6時40分 対局再開。
午後9時30分頃 藤井四段が投了。プロ初黒星で連勝記録が29で止まった。
◆両者コメント
佐々木勇気五段「もちろん、プレッシャーは感じましたけど、私たちの世代の意地も、ちょっと見せたいというのはあった。壁になることが出来て良かった」。
藤井聡太四段「1局、1局やっていきたいと思っています」。
- 竜王戦決勝トーナメント2回戦で藤井四段の連勝を止めた佐々木五段(撮影・江口和貴)
- 竜王戦決勝トーナメント2回戦で佐々木五段に敗れた藤井四段はハンカチで口元を抑える(撮影・鈴木みどり)
◆将棋ソフトは見た
今年5月の「世界コンピュータ将棋世界選手権」で優勝した将棋ソフト「elmo(エルモ)」の戦況を表す評価値グラフで対局を振り返ると、後手の藤井四段が、昼食休憩直後の32手目を打ったところで、先手の佐々木五段有利にグラフが動き始めた。再びグラフが大きく動いたのは、佐々木五段の49手目。1時間を超える長考の末の1手で、藤井四段側に動いた。しかし、夕食休憩後の藤井四段の50手目で再び佐々木五段有利に変動した。
- 将棋ソフト「elmo」によるグラフ
- 竜王戦決勝トーナメント組み合わせ
◆竜王戦 全ての現役棋士、女流棋士4人、奨励会員1人、アマチュア5人が出場。予選はランクに応じて1〜6組まで分けられ、勝ち抜き人数は1組から順に優遇。渡辺明竜王への挑戦権を懸けた決勝トーナメントに出場できるのは1組上位5人、2組上位2人、3、4、5、6組各上位1人の計11人。トーナメントの組み合わせもランク上位棋士ほど優遇される。優勝賞金は将棋界最高の4320万円。