安倍首相の懐刀、菅義偉官房長官の地元横浜市で16日、市長選が告示(30日投開票)された。

 横浜市長選には、3選を目指す林文子市長(71)、元衆院議員の長島一由氏(50)、元市議の伊藤大貴氏(39)の3人が届け出た。内閣支持率が急落する中、首相を支える菅氏のおひざ元での与野党対決。菅氏は林氏を支援するが、政権や自民党への逆風で自民が惨敗した都議選から、まだ日が浅い。結果次第で政権運営を直撃する恐れがある。

 カジノ中心の統合型リゾート施設(IR)誘致の是非、市立中学校での給食導入などが争点だが、カジノ誘致に市民の反対は根強いとされる。一時、誘致に前向きな姿勢だった林氏は16日の演説で、カジノには一切触れなかった。2期8年の実績を強調し「どうしても市長の場に帰りたい。そうでないと、もったいない」と訴えた。横に菅氏の姿はなく、三原じゅん子参院議員ら女性議員が応援。野党関係者は、「カジノ&菅氏隠しだ」と指摘した。

 一方、民進党は、林&伊藤両氏に支持が割れて事実上の分裂だが、江田憲司衆院議員や共産、自由両党が、カジノ反対の伊藤氏を支える。「現職相手に難しい挑戦だが、奇跡を起こそう」と訴える伊藤氏の売りは、同じ年のフランス大統領を意識した「横浜のマクロン」。陣営は、小池百合子都知事の戦略にならって緑のグッズ持参を呼び掛け、「菅氏や安倍内閣の好き勝手にはさせない」と訴えた。長島氏もカジノ反対を掲げている。【中山知子】