2020年東京五輪・パラリンピック主会場となる新国立競技場(新宿区)の後利用方法を検討するスポーツ庁の作業部会が26日、都内で開かれ、大会後はサッカーやラグビーの球技専用とする方針で一致した。9月末に開催予定の関係閣僚会議で正式決定する。

 「稼ぐ新国立」が最重要課題となった経緯には「ザハ案」の白紙撤回がある。2520億円に膨れあがった整備費に国民が猛反発。14年8月にJSCが出した収支見込みは年間約3億円の黒字も、年間維持費は約61億円(50年間の大規模修繕費を年割りし加算)。毎年大きな赤字が続き、50年間で3000億円以上の維持費となる計画だった。

 現計画は年間維持費を約24億円にまで軽減。さらに運営権売却により維持費を上回る「稼ぎ」を生み出す。そのためにはサッカー日本代表戦の誘致が不可欠だが、サッカー協会は臨場感が必要だとし、球技専用化を条件としていた。

 今春までに球技専用の方向性は固まっていたが6月の都議選などを待ち、落ち着いて議論できる時期を見計らっていた。先月末、東京五輪組織委の森喜朗会長が、前日本陸連会長・河野洋平氏の「(新国立を埋める)人を集めるのは陸上では難しい」との談話を紹介。国際オリンピック委員会も球技専用案に理解を示し、議論が加速した。