民進党の前原誠司代表(55)が今日5日、同党が合流する希望の党の小池百合子代表(65=東京都知事)に、衆院選出馬を要請するとの見方が浮上した。前原氏は4日、取材に「首相候補がいない政権選択選挙はあり得ない」と指摘。首相候補が見えないままでは、選挙戦で埋没しかねないとの危機感があるとみられる。小池氏は3日に「出馬は100%ない」と断言したが、いまだ出馬の臆測はくすぶる。5日は都議会最終日。勝負師・百合子はどう決断するのか。

 前原氏は4日、希望の党の公認を得た民進候補の応援で訪れた京都市で、衆院選対応について「首相候補がいない政権選択の選挙はない。小池さんが(衆院選に)出られないなら、首班候補を決めて戦わないといけない」と述べた。今日5日昼、小池氏と都内で会談することも明かした。

 複数の党関係者は、この席上、前原氏が小池氏に、衆院選出馬を要請するとの見方を示した。前原氏は、「政治家の出処進退は自ら決める」と述べた。会談では、希望の比例候補の選定を協議するとし、出馬要請の有無には触れなかった。

 希望の党の「顔」が、小池氏であることは間違いない。先月25日、自ら国政政党を立ち上げ、「都知事辞職→衆院選出馬」への期待が一気に拡大した。しかし、民進党リベラル系議員への「排除」発言で、批判が噴出。小池氏を取り巻く空気は、短期間で一変した。

 出馬の有無について、小池氏は「出馬しません。前から申し上げている」(先月29日)「100%ありません」(3日)と否定を続ける。市場問題など都政の課題の多くが解決しない中での出馬は、「投げ出し」批判を招きかねない。各社の世論調査も、小池氏に都政専念を求める声が多い。

 ただ、小池氏が候補者として戦わなければ、有権者に「首相候補」を示せず、選挙後の青写真を示せない。小池氏の出馬を警戒する自民党は足元を見透かし、「無責任」と批判を強める。百合子人気は高いが、知事としての応援だけでは選挙戦への影響は限定的とみられる。希望の党内には、小池氏の東京比例ブロック出馬への期待も根強い。

 小池氏を支えた都議2人が離党の動きをみせ、足元でも逆風が吹く中、批判覚悟の力業で民進党議員を「合流」させた前原氏にも、危機感があるとみられる。きょう5日で都議会は閉会し、公示まで5日。小池氏は再び崖から飛び降りるのか。「小池劇場」公示前最大のヤマ場となりそうだ。