自民党の石破茂元防衛大臣(60)が18日、上西小百合前衆院議員(34)が出馬を断念した大阪7区(吹田市、摂津市)に入り、渡嘉敷奈緒美氏(55=自民)の応援演説を行った。

 「全国どこに行っても自民有利と言われていますが、まったくそんなことはありません。トップを走っていても、2%、3%の差ならばあっという間にひっくり返される。長年、国会議員をやらせてもらっていますが、最後の3日間でひっくり返されたケースを何度も見てきた」

 “メークドラマ”“メークミラクル”を警戒し、さらなる支援を呼びかけた。

 全国的に自民優勢が伝えられ、日本維新の会の“地元”である大阪でも自民の力が増しており、過去2回、上西氏と争った渡嘉敷氏の大阪7区も、自民が優勢を堅持している。

 渡嘉敷氏は12年、14年の衆院選でともに、維新からの出馬だった上西氏に小選挙区では連勝しているが、維新が隆盛を誇った前々回12年は僅差での勝利だった。今回、維新は、橋下徹前大阪市長の元秘書、奥下剛光氏(42)を立て、争っている。

 渡嘉敷氏は今回も、追い上げを警戒し「ひじょうに追い上げられている。渡嘉敷奈緒美、非常時です」と、咳き込みながら訴えた。

 その渡嘉敷氏を「私は大好き、変な意味じゃないですよ」と、笑いをまじえて応援した石破氏。問題行動を重ねてきた上西氏の名前も、維新も口にせず「人の悪口を言っている場合じゃない。自民党は国民のために何をやるのか、次の世代のために何をやるのかだ」と主張した。

 今衆院選、各所でも口にしている「良い子、悪い子、普通の子というのは世の中にいるが、国会議員もいなくてはならない人、いてもいなくてもいい人、いない方がいい人、3種類いる」とも発言。渡嘉敷氏を「良い子、必要な人材だ」と言い、支援を求めた。

 ただし、上西氏を国会へ送り出したこの地では、集まった聴衆から、上西氏を念頭に置いてか失笑も漏れた。くしくも、この日、石破氏が演説したJR吹田駅前は、橋下氏の維新から新人として、衆院選に初挑戦した上西氏が、橋下氏とともに“選挙デビュー”した場所だった。

 演説後、石破氏は、報道陣から「悪い子とは誰か」と聞かれ「誰とは具体的には指していない」と回答。上西氏の印象については「会っていないから判断できない。国会で質問を受けたことがない。触れてみないと、どういう人物か判断できない」と話していた。

 大阪7区には、共産から村口久美子氏(45)も立候補している。