夏の終わりから火ぶたを切ったクリスマスケーキ商戦は、年末までまだまだ続く。ホテル、百貨店、コンビニエンスストアなどが「ここ限定で買えます」などと、こぞって趣向を凝らす。横浜市西区の「ヨコハマグランド インターコンチネンタル ホテル」では、今年も子供がパティシエ気分でケーキを作ることができる。毎年恒例でケーキを買うだけでなく、思い出も演出できる。

 世界に1つだけのクリスマスケーキができる。「ヨコハマグランド インターコンチネンタル ホテル」の「Happy!ファミリークリスマス~集まれ!~サンタさんといっしょ~」を今年も12月23日に開催する。クリスマス特別ランチビュッフェ、サンタクロースとの記念撮影などがあるが、一番の目玉は、子供たちによるケーキ作りだ。

 今年はコック帽もかぶって、パティシエ気分。ブッシュ・ド・ノエル(切り株やまき型のロールケーキ)の生地にいちごを並べて巻き、上に生クリームをのせて断面にフォークで波を打たせたり、ヘラで横の部分を整えたりする。クリスマスならではのデコレーションもできる。パティシエから教えてもらったり、手伝ってもらったりしながら、ケーキを仕上げていく。「粘土遊びや工作などの延長で、子供たちは喜んで参加してくれます」と同ホテルの広報担当は説明する。

 もともと、同ホテル側で「子供にもホテルに親しんでもらえるイベントは?」と模索していた。パティシエ(またはケーキ屋さん)は女児を中心に、なりたい職業ランキングの上位の常連。そんな体験と、クリスマスの思い出をつくってもらおうと、2010年から始めた。毎年募集開始と同時に完売する人気ぶり。ただ買って家族や仲間で食べるだけではない。他のホテルにはないオリジナル性が受けた。

 開催日は、クリスマス商戦の真っただ中。ケーキはホテルだけではなく、近くの百貨店でも販売する。わざわざこのイベントのために、果物や生クリームを当日朝に用意する。手間を考えれば、「1個でも多くのケーキを作って売りたい」というのが本音だろう。

 イベント終了後、子供たちが「インターコンチのケーキ作り、面白かったね。また行きたいね」と家族で話題になれば、次につながる。「大きくなった時に思い出してもらい、高校や大学に合格したり、就職祝い、結婚式などで再び利用してもらえたらうれしい」(同ホテル広報担当)。ケーキ作りのイベントは、ホテルとの長い付き合いを育む。【赤塚辰浩】