神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件で、警視庁が被害者全員の身元を発表して一夜明けた10日、親族らは悲しみに沈んだ。

 さいたま市の高校2年久保夏海さん(17)が通った埼玉県立上尾南高では、横瀬元応(もとまさ)教頭(52)が取材に応じ「元気に戻って来ると思っていた。深い悲しみでいっぱいです」と肩を落とした。9日夜、久保さんの母親から「身元が確認された」と連絡があった。横瀬教頭は「事実を伝えるだけで精いっぱいだったと思う」と述べた。

 久保さんは9月30日から行方が分からなくなり両親は10月1日、警察に捜索願を出した。学校側は同2日「娘の行方が分からない。学校に行っていないか」などと報告を受けた。それ以降、さらに事件発覚後も、両親からほぼ毎日のように担任らへ、娘の欠席連絡と同時に、切実に、行方に関する相談があった。

 白石容疑者はツイッターなどのSNSを利用し、被害者と接触したとみられている。同校では事件前からSNSは「なりすまし」などの危険性があるため、外部講師による研修会を開き注意喚起していた。しかし惨事は起き、「さらに強化しないと」と述べた。

 久保さんは入学後は音楽部、昨年9月の文化祭を経て、漫画・アニメ同好会に所属したが、2年になり部活をやめた。行方不明になるまで学校を欠席することはほぼなかった。人柄について横瀬教頭は「真剣に取り組む生徒。読書家だった」。いじめの有無は確認できていないという。

 この日午前には全校生徒を学年ごとに集め、校長から事件の報告を行った。うつむく生徒が多く、すすり泣く声も聞こえたという。生徒の精神状態をケアするため、同校はカウンセラーを手配した。白石容疑者に対し「悔しい。憤りを感じる」と無念そうに語った。【三須一紀】