【ロンドン=鈴木雅子通信員】英王室は27日、チャールズ皇太子の次男ヘンリー王子(33)と、米女優メーガン・マークル(36)の婚約を正式に発表した。2人は同日、ロンドン市内でツーショットを披露。王子は「初めて会った時、恋に落ちた」と、一目ぼれだったことを明かした。マークルには離婚歴があり、交際には当初批判も出たが、王子は異例の「交際宣言」で、真剣さをアピール。離婚歴がある女性との結婚で王位を放棄したケースもある王室の「前例」も、乗り越えた。来春挙式の予定だ。

 「秒読み」だったプリンスと人気女優の婚約が、ついに実った。チャールズ皇太子の事務所は27日午前(日本時間同日夜)、ヘンリー王子とマークルの婚約を発表。2人は同日午後、今後の住まいとなるケンジントン宮殿の庭園で、ツーショットを披露した。

 王子は紺色のスーツ、マークルは白のコート姿で、指を絡ませて登場。王子は「うれしい。彼女とは初めて会った時、恋に落ちた」と答えた。マークルは、笑顔で左手薬指の婚約指輪をお披露目。王子の母の故ダイアナ元妃が愛用したティアラの宝石などをあしらい、王子自身がデザインした。

 2人は昨年6月、当時マークルが住んでいたカナダ・トロントで出会い、交際に発展。王子は今夏、旅先のアフリカで、マークルにプロポーズした。ただ正式な婚約にはエリザベス女王の許可が必要で、王子は先月中旬、バッキンガム宮殿を訪れ、女王にマークルを紹介。この場で内々に婚約の承諾を得たという。

 交際は1年半だが、スタートからほどなく、メディアがキャッチ。マークルが(1)女優で年上、米国人(2)離婚歴がある(3)母がアフリカ系米国人であることなどが批判の対象となり、バッシングが過熱。王子は昨年11月、王室を通じて異例の交際宣言。「彼女を守れずに失望している」とコメントした。プレーボーイで知られるが、交際を公的に認めたのは初めて。モデルなど多くの女性と交際した王子だが、過熱報道が原因ですべて破局。動じなかったのは、マークルだけだった。

 英国では、離婚歴のある米国人女性との結婚と引き換えに王位を手放した、エドワード8世の「王冠をかけた恋」(1937年)の例もある。2人の結婚も、マークルの離婚歴が最も高いハードルとされたが、2人の意思は固かった。英王室の男性と米国人女性の結婚も、エドワード8世以来、約80年ぶりだ。

 婚約が認められたのは、時代の流れを受けて、王室が「多様性」に柔軟になったことの裏返しと分析する英メディアもある。

 結婚式は、ウィリアム王子夫妻と同じロンドン・ウェストミンスター寺院で、来春の予定。キャサリン妃が4月に第3子を出産予定で、結婚式は6月になるとの見方もある。王子は婚約指輪と別に、母の形見であるカルティエの時計も贈る予定だ。マークルも偶然、「将来、娘に贈りたい」と同じものを14年に購入。亡き母を通じた「縁」も重なった。