江戸勧進相撲の発祥地として知られる富岡八幡宮(東京都江東区)で起きた4人死傷事件で、殺害された女性宮司富岡長子(ながこ)さん(58)と元宮司で弟の富岡茂永容疑者(56)が宮司の地位を巡り、16年以上も確執を深めていたことが分かった。茂永容疑者は金銭問題などで01年5月、宮司を退任。以来、長子さんに「地獄へ送る」と書いたはがきを送って脅迫容疑で逮捕されるなど恨みを募らせていた。

 年末年始には大勢の参拝客が訪れる富岡八幡宮。年の瀬も近づく中での凄惨(せいさん)な事件に、近隣の商店からは「初詣はどうなるのか。年末年始の恒例のにぎわいに影響がでる」と心配の声も上がった。八幡宮は毎月3回の縁日のほか、年末年始には神事も行う。「確定はしていないが、予定されている神事は行う方向で検討している」と説明した。氏子関係者によると富岡家には、長子さんの母、妹のほか、茂永容疑者の息子がいるという。後任宮司の選定などの対応について、八幡宮は「お答えできない」とした。

 ◆富岡八幡宮(とみおかはちまんぐう)江戸時代の1627年に創建された東京都江東区の神社。徳川将軍家の保護を受けて発展。1684年から約100年間、勧進相撲が開催され、大相撲の礎となった。初詣時期の参拝客は30万人に上るといわれる。