男子フィギュアスケートの羽生結弦選手(23=ANA)名前と似ていることからファンの「聖地」となっている神戸市東灘区の弓弦羽(ゆづるは)神社では17日、多くのファンが参拝し、羽生選手のフリーの演技を境内でスマートフォンのワンセグで観戦した。金メダルが決まると、沢田政泰宮司(64)は安堵(あんど)の表情を浮かべ、うっすらと涙を流した。

 「ホッとした。羽生選手を応援する絵馬にはたくさんのファンの方の思いがあった。けがから復活を願い、毎日のように参拝された方もいた」。66年ぶりの五輪連覇を決め、テレビ画面に映った羽生選手の涙を見て、沢田宮司も頬をぬらした。1年間に奉納される約5000~6000枚の絵馬のうち、7割が羽生選手の活躍を願う内容。ファンの祈りは通じた。

 羽生選手自身も、これまで4度、同神社を訪れた。昨年6月に訪れたときには応援する絵馬の多さに「すごいな」と驚き、自らの絵馬には「全力で試合に臨めますように」と書いた。

 羽生選手と接してきた沢田宮司は言う。「羽生選手の神仏に対する真摯(しんし)な姿勢が通じたのだと思う」。昨年11月の右足首の負傷から復帰し、連覇を達成したのは「自分自身のことをよく知っておられる方だと思う。けがの間にできることは何か? 自問し、できることをコツコツと積み重ねられたのでしょう」と話した。