史上最年少プロ棋士、藤井聡太六段(15)が15日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第76期名人戦・順位戦C級2組の最終戦で三枚堂達也六段(24)を下し、10戦全勝で同1組に昇級した。2月1日の9回戦ですでに昇級は決めていたが、順位戦初参加での「全勝1期抜け」は史上6人目。最後まで気を抜かず、勝ち星をものにした藤井は「いい形でフィニッシュできてうれしく思っています」と話した。

 三枚堂は昨年8月の上州YAMADA杯で敗れ、デビュー2敗目を喫した相手。藤井は「落ち着いてじっくりした展開になり、模様の良さを生かすことができた」と圧勝でのリベンジ劇を振り返り、感想戦では笑顔も見せた。

 過去に初参加のC級2組を全勝で突破したのは66年度の中原誠16世名人ら5人のみ。藤井と同じく中学生で棋士となった第一人者、羽生善治竜王(47)ですら昇級には2期かかっている。

 スーパー中学生はデビュー2年目になっても、記録を塗り替え続けている。2月17日には全棋士参加の「朝日杯」で初優勝し、五段昇段からわずか16日で六段に。今月13日には対局数、勝数、勝率、連勝と記録全4部門の1位を確定させた。藤井は最年少「4冠王」について「あまり意識してはいなかったですけど、1局1局全力で臨んでこうした結果を残せた。とても良かった」と、あらためて喜びをかみしめた。

 これで通算70勝、本年度の通算勝利数を60勝とした。「藤井には、タイトルを期待するなという方が無理でしょう」。師匠の杉本昌隆七段(49)が言うのも納得の、節目の白星となった。【赤塚辰浩】

 ◆順位戦 最上位のA級からC級2組までの5クラスに分かれて戦い、A級の優勝者が名人挑戦者となる。1年1期で各組のリーグ戦10回戦を行い、成績によってそれぞれ昇級、降級をする。新人プロはC級2組からスタート。「飛び級」はないため、名人になるには最短で5年がかかる。

<藤井の今後対局日程>

 ◇22日 王座戦予選=糸谷哲郎八段(大阪・関西将棋会館)

 ◇28日 王将戦予選=井上慶太九段(大阪・関西将棋会館)