安倍晋三首相は26日の参院予算委員会で、昭恵夫人が森友学園が建設を予定した小学校の名誉校長に一時就任したことについて「今思えば、引き受けるべきではなかった」とボヤいた。学園の信用度を上げるためだったと認める半面、国有地売却への影響は否定。夫人の国会招致も拒否し、「夫と妻は別人格だ」と批判された。今日27日、財務省の文書改ざんのキーマン、佐川宣寿前国税庁長官(60)が証人喚問に臨む。佐川氏は何を語り、何に口をつぐむのか。発言次第では政局が動く可能性もある。

 「佐川喚問」前、最後の首相VS野党の場となった参院予算委員会。喚問でも焦点の1つとなる、文書改ざんをめぐる昭恵夫人の影響について問われた首相は、夫人が一時、森友学園の小学校の名誉校長に就任していたことについて、後悔の念を口にした。

 夫人は「(国有地売却の)認可の手続きにはかかわっていない」としながらも、「今思うと、引き受けるべきではなかった。その点は反省している」と、2度繰り返した。共産党の辰巳孝太郎氏は、昭恵氏が「良いことをしようとする時は、私を利用してほしい」と以前語ったことを持ち出し、「自分の名前が学園の利益になると、自分の影響力を理解した行動だった」と指摘。名誉校長就任は、学園への「利益誘導」ではないかとただした。

 首相は、「学園の信頼性を高め、多くの人が趣旨に賛同するかもしれない。私もそう思うし、妻もそのように理解していた」と、昭恵氏の思いを代弁。その上で「これまで行政に影響を及ぼしたことはない、認可の手続きにも関わっていない」と、国有地売却への影響は否定し、「私が総理大臣の責任で、極めて重い答弁をしている」と、昭恵氏本人の説明も拒否した。

 昭恵氏の言葉として語られるのはあくまでも首相の言葉。弁護士でもある社民党の福島瑞穂氏は、「伝聞は、裁判では証拠にならない。夫と妻は別人格。妻は夫の道具ではない」と、首相の「昭恵隠し」を激しく批判した。立憲民主党の福山哲郎氏も「財務省はかわいそうだ。責任は、総理と昭恵氏にある」と、安倍夫妻による説明責任は避けられないと主張した。

 一方、財務省の矢野康治官房長は、文書改ざんに関して午前中に「首相官邸も麻生財務相も、全く指示も関知もしていなかった」と否定しながら、午後には官邸の指示について、「あったという事実に突き当たっていない」と修正した。野党側は首相の懐刀、今井尚哉秘書官の証人喚問を要求。首相人脈が次々と標的になってきている。【中山知子】