学校法人「森友学園」を巡る補助金詐取事件で詐欺と詐欺未遂の罪に問われ、10カ月近く勾留されていた学園前理事長籠池泰典被告(65)と妻諄子被告(61)が25日、大阪市都島区の大阪拘置所から保釈された。籠池被告は大阪市内で会見し「国策勾留だ」と非難した。安倍首相には「為政者は本当のことを言うべきだ」と強調。一方で俳句を披露したり、すすり泣く妻に「冤罪(えんざい)や」と慰める場面も見せるなど、「籠池劇場」の“復活”をアピールした。

 昨年7月31日の逮捕から298日ぶりの公の場に現れた籠池被告は終始、余裕の笑み。会見の冒頭で「はい、みなさんこんばんは。お久しぶりでございます」と呼びかけた。約10カ月に及んだ勾留で「非常に体力も弱っております。足腰がどうも立たなくなって。大変なもんやなと」。それでも“籠池節”は健在だった。「国策勾留と認識している。妻は全くの冤罪だ」と訴えた。

 大好きだった安倍首相には「為政者は本当のことを言うべきだ。正々堂々と伝達、報告するものだ」と持論を展開し、昭恵夫人についても「本当のことをしっかり伝えていただいたらいいのではないか」と強い口調で話した。

 夫妻は昨年7月末から大阪拘置所に勾留され、弁護人は同11月に保釈請求したが、大阪地裁が却下。長期勾留中に事態は動いた。学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんが判明した。籠池被告は「国家公務員は国民のサーバント(召し使い)。書き換えは国民に対する背信だ」とまくしたてた。

 23日の大阪地裁の保釈決定に対し大阪地検が不服として申し立てた準抗告を、地裁が25日に棄却した。保釈保証金は籠池被告が800万円、諄子被告が700万円だった。

 会見ではすすり泣く妻に「大丈夫? よう頑張って。冤罪や。(10カ月ぶりに会えて)うれしかった。相思相愛ですからね」。さらに上機嫌で「早朝の 志を得る 初夏の風」と俳句を披露。「私はこれから、いろいろと活躍をさせていただくつもり」と笑った。

 関係者によると、籠池被告は府市の補助金詐取の起訴内容について、補助金を申請したことは認めるという。諄子被告は全面否認の方針。国の補助金詐取については両被告とも否認する。【松浦隆司】