活発な梅雨前線による西日本豪雨は8日、各地で被害が拡大し、死者は計85人に上った。

 浸水被害が甚大だった岡山県倉敷市真備町地区では8日、一部地域で水位が下がった。6日午後11時半過ぎの豪雨による浸水で爆発事故の起きた朝日アルミ産業の工場から、西に約800メートルの真備町地区辻田。木造家屋に妻と住む福島三良さん(73)は「寝てたら、ドッカーンゆうたんじゃ。音で目が覚めた。家の中を見るとガラスがメチャクチャに割れていた」。

 さらに降り続けた雨で、7日朝には周囲の水路から1階部分のほとんどが泥水に漬かった。この日、泥水が引き、爆風で割れた1階のアルミサッシをよく見ると、ガラスが粉々になっただけではなく、サッシ部分が折れ曲がり、開け閉めもできなくなっていた。

 福島さん宅の外壁に残った泥水の跡は170センチ以上。「畳は浮くし、テレビも冷蔵庫も全部倒れて、使い物にならん」。被災地を狙う泥棒がいると聞き、福島さんは避難所には行かず、自宅2階で過ごしている。

 この土地で生まれ育って73年でここまでの水害は初めてという。「爆発で割れた窓からどんどん泥水が入ってきた。今、大変なのはヘドロがたまった家の中の片付け。どこから手をつけていいか」。この日夜も遅くまで片付けに追われた。【清水優】