自民党の厚生労働部会長に起用された小泉進次郎氏(37)は22日、デビュー戦となる初の会議で、中央省庁による障がい者雇用水増し問題に、強い憤りを示した。水増しを続けながら「意図的ではない」との声があることに、「法律をつくる側が破っている。あり得ない」と一喝。党として厳しい意見を出す意向も示した。国民の関心が高い社会保障分野で、これまで以上に手腕が問われる党の仕切り役。「並大抵の作業ではない」と身を引き締めた。

厚労部会長デビュー戦から進次郎氏がほえた。議題の1つが、中央省庁の障がい者雇用水増し問題。党の「障害児者問題調査会」と合同会議で、議員16人から責任の所在など厳しい声が出る中、議論を仕切った。

会議後の会見で、今回の問題に関し、意見交換した民間企業から「小泉さん、あり得ない」と言われたと紹介。「民間は法定雇用率を達成できなければ、1人あたり年間60万円払う。役所は『これから頑張る』で済むんですかと。これが国民の率直な声だ」と指摘した。

水増し認定された行政機関が「意図的ではない」と主張している点には「考えられない。法定雇用率は法で定まっている数字だ。法律を守って当たり前の役所が、破っている。これ自体あり得ない」とピシャリ。「意図的ではないと言っても悪質なことに間違いない」「どう考えても理解できない」と、語気を強めた。

会議に出席した厚労省の説明には納得せず、報告を了承しなかった。「党から厳しい意見をぶつけていくことも大事」とも述べた。

部会長就任は、農林部会長に続き2度目だが、次世代の政治家として2020年以降を見据えた社会保障改革を訴えてきた。同僚議員と「人生100年時代の社会保障」をまとめ、子育て世代支援で「こども保険」を提案。党からの発信を意識してきた経緯もある。

今回の就任も自ら強く希望した。進次郎氏は「『人生100年時代』の議論が私の原点。社会保障は国民がいちばん関心ある分野。並大抵の作業ではないと理解しているが、理想を描きながら目の前のことを1つ1つ、周囲と相談しながら前に進めたい」と述べた。社会保障は年金や医療、介護など多岐にわたり、予算も巨大。党内をまとめるには調整力が試され、一方で発信力も必要。進次郎氏は「踏襲すべきは踏襲する」と述べ、まずは前任者が恒例にしてきた部会後のブリーフィングを通じて、「私なりの思い」を発信する意向を示した。【中山知子】