政府は14日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部で土砂投入を開始した。

現場には午前9時ごろ、土砂を積んだ運搬船が桟橋として用いる護岸に接岸。土砂をダンプカーに積み替え、午前11時ごろから海に向けて次々と投入した。エメラルドグリーンの海面は濁った色に変わっていった。キャンプ・シュワブのゲート前では夜明け前から集まった反対派の市民ら約500人が抗議の声を上げ、海上でも約20隻のカヌーが抗議活動をした。

玉城デニー沖縄県知事は県庁で会見し「激しい憤りを禁じ得ない。一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっているが、工事を強行すればするほど県民の怒りは燃え上がる」と批判した。岩屋毅防衛相は記者団に「抑止力を維持しつつ沖縄の負担を軽減するためには、辺野古という方法しかない」と強調したが、20年度とされる普天間飛行場の返還については「なかなか難しいところに来ていることは事実」と達成困難になっているとの認識を示した。

埋め立て開始で原状回復が困難になる中、沖縄県では来年2月24日に実施する県民投票で反対の民意を政府に示し、規制強化で対抗する考え。玉城氏は県内での土砂採取の規制を強化する「県土保全条例」の改正や、国交相が停止した県による埋め立て承認撤回の効力回復を求める法的措置を検討している。