平成の将棋界でトップを走り続けた羽生善治竜王(48)が21日、無冠に転落した。山口県下関市「春帆楼」で行われた第31期竜王戦7番勝負第7局で午後6時49分、167手で挑戦者の広瀬章人八段(31)に敗れた。広瀬の竜王獲得は初。1989年(平元)に初タイトルの竜王を獲得、翌年防衛に失敗した後、91年3月まで無冠だった羽生が延々と築き上げたタイトル獲得の歴史は、ひとまず幕引きとなった。

広瀬は対局中、タイトルの重みを感じていた。「勝ちが見えてからの時間が長かった」。羽生にはタイトル戦で過去2回、敗れている。その羽生のタイトル獲得通算100期がかかるシリーズ。「これほど注目される舞台は今後、自分の人生でないと思った」。今年2月の朝日杯決勝では、藤井聡太五段(段位は当時)の初優勝の引き立て役となった。「私には荷が重すぎた」と発した男が奮起した。昨年末に結婚したばかり。「対局に専念できる環境を作ってくれた」と、愛妻への感謝の意も示していた。