21日に無冠になった羽生善治前竜王(48)が少年時代に通った、「八王子将棋クラブ」(東京都八王子市)が24日、最終営業日を迎えた。

多くの人が「終局」を惜しむかのように、最後の対局を楽しんだ。ビルの老朽化と、八木下征男(やぎした・ゆきお)席主(75)の体調の問題から、閉所が決まったという。

23日には羽生がサプライズ訪問。「閉じられるのは大きな節目。(無冠も)残念ですが、自分自身は前に進まなければ」と話したという。この日も村山慈明七段(34)、増田康宏六段(21)ら、ここから巣立ったプロ棋士が足を運んだ。

もともと将棋が好きで、脱サラした八木下さんが1977年(昭52)に同クラブを開業。同市内に住んでいた羽生少年が、翌年8月に初めて来た。「羽生さんとの巡り合いが、1番の思い出。まさに金の卵だった。名人になれるとは思ったが、99回もタイトルを取るとは」と振り返る。

79年3月からノートに控え始めたクラブ内での成績と、将棋大会で優勝した写真などは、大切に保管してある。八木下さんは「羽生資料館ができたら、寄贈します」とも話した。【赤塚辰浩】