将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)は5日、大阪市の関西将棋会館で指された第77期名人戦順位戦C級1組で近藤誠也五段(22)に敗れ、順位戦でデビューからの連勝が18でストップした。藤井の師匠、杉本昌隆七段(50)はC級1組で船江恒平六段(31)に敗れたため、順位戦での32年ぶりの師弟同時昇級は3月5日の最終局に持ち越しとなった。

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師弟同時昇級がかかる大一番。最終盤、藤井がガクッと首を折った。額が盤に届きそうなほどのオーバーアクション。深夜までに及んだ熱戦で逆転負けを喫し、デビューからの順位戦の連勝記録は「18」でストップした。

「最後は少し乱れてしまったのが残念です」。順位戦初黒星を悔しそうに振り返った。連勝ストップについては「いつかは止まってしまってしまうことと思っていた。気にはしていない。ただ昇級を目指す上では痛い敗戦になってしまった」と唇をかんだ。

B級2組への昇級争いは師匠、杉本も同日、同1組で船江に敗れ、注目された師弟そろっての昇級は3月5日に行われる最終局に持ち越された。上位2人が昇格するC級1組は、藤井、杉本ら4人が8勝1敗で並ぶ大混戦となっている。

順位戦での師弟同時昇級が実現していれば1987年以来32年ぶり、2例目の快挙だった。弟子の昇級を背負った杉本は強敵の船江に中盤にリードを許し、終盤に力尽きた。杉本は「途中で自信がない手があった。この一局は残念です」と言葉少なに話した。最終局に向け「切り替えていきたい」と話した。

師弟同時昇格について藤井は「師匠と昇級争いに絡んでいて、結果として師弟で上がることができたら一番いいなという思いもあった」と本音も漏らしたが、この日の対局には「そういうことはいっさい意識しないようにと思っていた」とキッパリ。

3・5の最終戦に向けて「昇級に関しては他力となってしまった。それでも最後の一戦に全力を尽くしたい」。高校生プロはあきらめていない。【松浦隆司】