森友学園問題をスクープしたことで異動を命じられ、NHKを退職し現在、大阪日日新聞で論説委員を務める相澤冬樹氏(56)が8日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(月~金曜午後1時)に生出演した。

相澤氏は「私の中では終わっていないが、政治的に終わりにされている。そうじゃないでしょうと」と、森友学園問題は、まだ追求すべき問題であることを重ねて強調した。

森友学園問題は、告発された佐川宣寿・前国税庁長官をはじめ財務省関係者ら38人を、大阪地検特捜部が18年5月31日に不起訴処分にした。ただ、国有地の値引きをはじめ、問題の多くが全容が明らかにされていない上、18年3月には財務省近畿財務局で国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属し、上司から書類の改ざんを指示された男性職員が自殺に追い込まれた。その男性は、書き換えを指示されたなどと記したメモを残している。

そのことを踏まえ、大竹まこと(69)が「メモの中に、いろいろなことを書いていても、地検は不起訴?」と聞くと、相澤氏は「本当は起訴できたのではないか、と今でも思っている。検察審査会に持ちこまれているが、ぜひ検察審査会で(起訴して法廷に)出していただきたいと思う」と語った。その上で「記者として平たい立場で言えば、どういう判断が出るかを注目するところですが、ずっと森友学園問題をやってきた立場としては背任行為はあったと見ています」と言及。自らが取材し、17年7月のNHK「ニュース7」でも報じた、近畿財務局が国有地の売却前に森友学園が支払える金額を聞き、その額以下で売却した件に背任の可能性があることを指摘した。

相澤氏は、学園の小学校の名誉校長に安倍晋三首相の昭恵夫人が就任していたことを原稿に明記しながら、削除されたことを、著書「安倍官邸vs.NHK:森友事件をスクープした私が辞めた理由」(文芸春秋社)で、自らが当初、書いた原稿と実際に放送で読まれた原稿を掲載し比較、対照している。番組では、そのことにも話が及んだ。同氏は、大竹から「原稿にチェックが入っていた?」と聞かれると「原稿のチェックは必ずデスクという管理職が見て手直しする。日常、行われている」と説明。その上で「1番、肝になる情報をカットしたのが、おかしい。忖度(そんたく)というか、政治とすり合うというのはあった」と指摘した。

一方で、31年間、務めたNHKについての思いも吐露。「僕はNHKを今でも愛しています。(国民の)受信料で支えられる公共放送は、あっていいと思う。大半の記者、ディレクターも一生懸命やって、良い番組を(世の中に)出している。でも時々、とんでもないものが出ると、そこに引きずられるのはもったいない」と熱く語った。著書に関しても、元同僚から反響があったと明かし「現場は、よく書いてくれたと。でも『この程度か! もっと書かないのか』という人もいた」と語った。

相澤氏は生出演後、日刊スポーツの取材に応じ「森友学園問題の取材は、ずっと続ける…やめません。他の記者にも取材をやって欲しい」と語った。【村上幸将】