将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)が12日、関西将棋会館で行われた第69期王将戦1次予選4組の2回戦で池永天志四段(25)に大逆転勝ちし、ベスト8に進んだ。5日の順位戦C級1組で初黒星後の仕切り直しの一戦だった。18年度の通算成績は38勝7敗。

最終盤、一時は劣勢に立ったが驚異の粘りを発揮した藤井は「時間がない中で選択を誤ってしまった」と反省した。午後の対局中には“ハプニング”も発生した。午後3時30分すぎ、同会館の隣のマンションから「火災」を知らせる警報が鳴った。避難を呼びかけるアナウンスが約5分間、流れ続けた。誤作動だったが、池永は「最初、訓練かなと思った。あまりにも長いので本当に火事かと…」と話し、藤井は「対局室にも聞こえた。(指し手を)なにか間違えてしまったことはなかったと思う」と冷静に振り返った。

藤井の次戦は16日、羽生善治九段(48)に続く史上2人目の連覇を狙う朝日杯将棋オープン戦だ。準決勝で行方尚史八段(45)と対戦し、勝てば同日の決勝に進む。大一番を前に勢いをつけた最年少プロは「目の前の一局一局に全力を尽くしたい」と意気込んだ。【松浦隆司】