山口県立下松工業高の40代の男性教諭が昨年秋、担任するクラスの1年生の男子生徒の髪が長いからとバリカンで頭を丸刈りにした上、「病院に行け」などと乱暴な言動をしたことに端を発し、クラスの生徒40人全員と保護者が2月、同県教育委員会に同教諭を懲戒免職にするよう嘆願書を出していたことが25日、分かった。同校は嘆願書を提出されるまで、教育委員会に事態を報告していなかった。

男性教諭は18年秋、当該男子生徒の頭をバリカンで丸刈りにした上「病院に行け」などと言い、その後、生徒は同12月に学校を休んだという。高橋等校長(57)は、日刊スポーツの取材に「バリカンで生徒の髪を切ったのは事実。教諭からも『髪が長いから切りました』と報告があった」と認めた。その上で「生徒が休んだ理由の1つに(バリカンで髪を切ったことが)あるかもしれない」と語った。

県教委の関係者も、嘆願書が提出された事実を認めた上で「一般論として、了承を得ずに髪を無理矢理切ったなら体罰」と言及した。それを受け、高橋校長は「なぜ切ったかは現状はっきりしておらず、県教委が生徒にヒアリングを行っています」と、当該教諭が生徒の了承を得て髪を切ったか否かは調査中だとした。

当該教諭には、以前から生徒に「ボケ」「アホ」「バカ」などと乱暴な言動を浴びせるという情報が学校に寄せられていたという。そのため、高橋校長は18年12月に当該教諭に対し「事実か分からないが、もし子どもたちにそういうことを言っているなら改めなければならない。(クラス)全体がいる中で『病院に行け』などという言葉はいけない」などと指導したという。

その後、今年1月に入り、同教諭の生徒指導が「人が変わったくらい」(同校長)改善されたように見えたため、教育委員会へ一連の事態について報告しなかったが、2月に嘆願書が出された。学校側は15日に教育委員会同席の上で生徒、保護者と分けて説明会を行い、教諭は謝罪したという。高橋校長は「子どもたちにとって12月までの言動、考えが変わったのだろうか? と疑問があったのでは」と説明した。

同教諭は嘆願書の提出後に担任を外れ、生徒に関わらない業務をしており、ホームルームなどは副担任が対応しているという。高橋校長は、同教諭を来年度、担任から外すことを検討していることを明かし「今の状況だと難しいと判断している。生徒、保護者の気持ちを踏まえて配慮する」と説明した。

その上で「学校が、こういう状況になっていること自体、大変申し訳ない。私が見て(教諭の生徒指導が)変わったと思い、県教委に報告しなかったが、昨年12月の段階で報告すべきだった」と謝罪した。