会社法違反(特別背任)などで起訴された、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が3日、弁護団の弘中惇一郎弁護士(73)の都内の弁護士事務所で、高野隆弁護士(62)を交えて緊急会談を開いた。

この日、一部でオマーンの販売代理店側に日産資金を不正に支出し、一部を流用した疑いがあるとして、東京地検特捜部が同法違反(特別背任)容疑で近く再逮捕する方針を固めたと一部で報じられたことを受けて行われたという。

弘中弁護士は緊急会談後、報道陣の取材に応じ「メディアでいろいろなことがあるものですから、話が必要ということで。報道が本当かどうか、まだ分からない。様子を見るのが基本」と答えた。東京地検からは聴取の要請などはないといい「オマーンの事件の中身については我々は議論していないし、分からない。我々は捜査官ではないので、あれこれ聞いたことはない。どういうことかも、逮捕状も見ていないわけですから…逮捕するかどうかも知りませんけど」とも語った。

一方で「検察が一部に本当のことをリークしたのなら大変な問題。そういうことがあるかも知れないということを前提に議論したわけであって、個別の報道について議論はしていない」と、一部の報道が事実であることを想定しての緊急会談であったことを示唆した。

その上で、弘中弁護士は「前から、検察官は『追起訴があり得る。3月31日までに何らかの返事をする』というようなことを言っていて、4月1日になってこちらから問い合わせをしたら『今は何も言えないし、いつ言えるかも分からない』と言われた」と検察が追起訴の可能性をにおわせたことを明かした。そして「何も言わないという、かたくなな態度から、我々はかなり(追起訴が)あり得るというサインとして受け止めるわけですよね。報道が本当であるという可能性は、あるんじゃないかと思っています」と追起訴の可能性を想定していると語った。

追起訴された場合について、弘中弁護士は「身柄を取る、人質司法的なことをするのは、ちょっとどうかかと私は思う」と語った。さらに「全くの別件ではない、関連事件の一部を理由にするのは、前と同じで無駄な拘束を繰り返すのは良くないことだと思う」と繰り返した。任意の捜査協力については応じる考えを示しつつ「どういう時点で、どういう条件、内容でというものがあるものですから、その時に決める。固めていない」と答えた。

この日、ゴーン被告がツイッターを開設し「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします」(原文のまま)と11日に会見を開くと発表した件についても「全く出来ない状態になったら、出来ないでしょうね」と延期の可能性も否定しなかった。【村上幸将】