令和“発祥の地”福岡県太宰府市は、平成最後の日の4月30日は雨が降りしきるあいにくの空模様も、国内外の観光客が足を運び“令和ブーム”に沸いた。

令和の引用元となった「万葉集」の「梅花の歌」三十二首の序文「初春の令月にして気淑よく風和らぎ」を詠んだ大伴旅人が長官「帥(そち)」を務めた、大宰府政庁跡の大宰府展示館には、新元号発表翌日の2日から29日までの28日間で3万4000人が来館した。新元号発表まで来館者は1日10人に満たない日もあったが、1日平均1200人超に激増。30日も北は北海道から南は沖縄、米国など海外からも来館した。

記念グッズも登場した。展示館では、大伴旅人が歌を詠んだ「梅花の宴」を再現した、ジオラマを元にしたポストカード(150円)とクリアファイル(300円)を制作。さらに地元の食品会社と制作した限定のツナ缶「令和元年かんかん」(500円)を20日から販売し、列が出来るほどの盛況ぶり。太宰府市も令和クリアファイル(300円)を27日から販売し、4日間で1500枚売れた。

一方で去りゆく平成への感謝の声も聞かれた。市が27日に設置した、前天皇陛下への奉謝と新天皇陛下を奉祝する記帳所には4日間で3000人超、30日だけで850人が訪れた。市内で和菓子作りを営む田中勝子さん(72)は「31年働いてつらいこともあったけれど、一生懸命働いたことに喜びを感じる。平成と天皇陛下に感謝の気持ち」と語った。

展示館が午後5時で閉館後も観光客が後を絶たない大宰府政庁跡では、1日朝から市民1000人を集めて行う令和の人文字制作の準備が着々と進められた。【村上幸将】