「ルパン三世」の原作者で、4月11日に亡くなった漫画家の故モンキー・パンチさん(本名・加藤一彦=かとう・かずひこ、享年81)が、今年に入って制作に関わったイラストが、このほど明らかになった。

漫画家デビューのきっかけとなるなど大きな影響を受けた、米国DCコミックスの代表的な作品「バットマン」が80周年を迎えたことを記念して、コラボレーションイラストをプロデュースした。

モンキー・パンチさんは、公開中の米映画「シャザム!」など、DCコミックスの人気キャラクターのラフ絵を描いた。さらに、代表を務めた会社「エム・ピー・ワークス」のスタッフとの共作の中で、キャラクターの顔にペンも入れたという。モンキー・パンチさんにとって生前、スタッフと一緒に進めていた複数の企画の一環で“遺作”の1つと言っても過言ではない。

企画は、DCコミックスの「アクアマン」「シャザム!」の実写映画を相次いで公開したワーナーから18年末に持ち掛けられた。モンキー・パンチさんは2、3年前から体調が悪く、目立った創作活動は控えている状況だったが、DCコミックスの雑誌「MAD」に触発されて漫画家デビューし、「ルパン三世」独特のアメリカンコミック調の画風にも影響が表れた、DC作品に携わることを大変、喜んで快諾。DCヒーローのキャラクターデザインを自らプロデュースした、コラボイラスト企画が決定した。

始動は年明け後、間もなくで、まずワーナーからイラストにして欲しいキャラクターとしてバットマン、スーパーガール、スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アロー、サイボーグなどの提案があり、ポーズや表情など全てのキャラクターデザインはモンキー・パンチさんに一任された。元々、愛好しておりキャラクターは熟知していたが「アクアマン」「シャザム!」など最近のキャラクターについては、細かい部分の確認を含め、詳細の資料が用意された。

モンキー・パンチさんは資料を元にイメージを膨らませ、予定より早い段階で「こんな感じはどうか?」と、いろいろなパターンのラフ絵を描き、4月上旬には最終のデザインがほぼ決定したという。ラフ絵はかなりの量に上っており、体調が悪い中でも企画を大変楽しんでいた様子がうかがえる。

モンキー・パンチさんがプロデュースしたイラストを起用した「DCヒーロー」キャンペーンは6月から始まるが、モンキー・パンチさん自らが見届けることは、かなわなかった。