20年東京五輪大会組織委員会は20日に第1次チケット販売の抽選結果を公表するに際し、19日夜、メディアを集め、チケット購入後の不正転売や詐欺行為への注意喚起を声を大にして訴えた。

購入手続きが済めば、公式サイトの個人ページからチケットデータを打ち込むことができる。通常なら、そこに所定の来場者名を書き込む。来場予定者が何らかの都合で来られなくなった場合は、家族や知人に譲ることを前提に、来場直前まで名前を変更することができる。

この制度を利用して不正転売を試みる悪徳業者が出てくることを想定し、組織委は今月14日に施行された不正転売防止法をもとに「法律に則ったチケット運用を行う。知らない第三者への転売も禁止されており、発覚した場合はチケットの無効化という措置を取る。警察とも連携しながら対処していく」と断言した。

チケットの券面に掲載される購入者名は最後まで変更できない。この購入者と実際の来場者が見知らぬ関係にあった場合、競技会場の入り口で入場を断られる場合がある。

だが組織委側が100%、会場の入り口でそれを判別できるかと言えば「NO」だ。注意喚起で組織委の担当者が強い言葉を並べたのは、それら不正行為を現場で取り締まるのには限界があるからだ。

未然に防ぐ-。それが課題となる。取り締まり強化の1つに「監視システム」がある。人為的に監視するのは難しいが、公式サイト上で「異常行動」をしているユーザーを自動的に監視し、その警告を組織委がキャッチするという仕組み。

例えば、来場者名が頻繁に変更される。大量のIDを保有している形跡がある。サイト上での行動が平均的ではない、など。そこでキャッチした情報をもとにIDを洗い出し、警察と連携して対応を図る。試合当日、それら不正ID情報を持ち合わせた入場口の係員がチケットを無効化するなどして取り締まる。

来場者名が変更できる点を突き、転売サイトに売り出すケースも想定。転売防止に以下の事業者の協力を取り付けている。

フリーマーケットオークションサービス事業者では「メルカリ」、「ヤフオク!」、「ラクマ」。チケット仲介サービス事業者では「チケットストリート」、「チケット流通センター」、「チケジャム」。組織委はオークションなどに出品されているチケットは無効化するという。

SNSなどに不正転売サイトの広告が表示される可能性も踏まえ、「ツイッター」、「フェイスブック」、「Google」にも協力を呼びかけている。担当者は「2次転売サイトで不正購入しないように気をつけてほしい」とも話した。

モバイルでも紙チケットでも購入したチケット情報には2次元コードが付いている。その2次元コードを含めた券面をスマホなどで接写されると、複製される危険性があるとも注意を促した。

購入前の抽選結果発表では、詐欺メールや電話への注意を呼びかけた。組織委が連絡する手段はドメイン名が「@ticket.tokyo2020.org」のメールか、公式サイト内での掲載しかない。電話やハガキでは一切連絡しない。【三須一紀】